2021 Fiscal Year Research-status Report
Coupling Calculation for Radiative and Convective Heat Transfer and Development of Mist Cooling Technology to Prevent Heat Stroke
Project/Area Number |
21K14087
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
江目 宏樹 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (80785551)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 消防装置 / ふく射 / ミスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではミストの水粒子直径を一定とし,対流-ふく射の複合伝熱解析を行った.解析領域のアスペクト比はx : y : z = 4 : 1 : 4に設定し,x及びz方向に周期境界条件を適用した.下部の加熱壁温度は1200K,上部の冷却壁温度は300Kに一定に設定した.解析領域内には吸収-散乱性媒体であるミストが一様分散しており,蒸発は考慮しない.また,計算コスト削減のため,Plank-mean approximation (PMA)により黒体エネルギーが均等になるように4バンドに分割されたウォーターミストのスペクトル特性を使用した. 冷却壁近郊でのNusselt数を計算し,ふく射熱伝達特性はミストのある系が,ミストがない系と比べて約27%熱ふく射遮蔽に貢献している.ふく射熱抑制の要因の1つとして水粒子の異方性散乱特性が挙げられる.粒子の散乱特性は粒子が大きいほど前方散乱成分が支配的となり,ふく射熱遮蔽に寄与しない.一方,ミストを用いた系の対流熱伝達特性はミストのない系と比べて2倍以上促進されている.ふく射Nusselt数は減衰係数と幾何学的距離の積で表される光学厚さの増加に伴い減少傾向を示すのに対し,対流Nusselt数は対流伝熱による影響が大きいレイリー数において光学厚さの増加に伴い増加傾向を示すことが知られている.ウォーターミストの光学厚さを検証したところ,高温場で支配的となる近赤外線領域での光学厚さの違いが大きく,本研究ではミストのふく射熱吸収によって駆動される自然対流が対流熱伝達促進の要因であると考えられる. 以上,ウォーターミストを用いた消防装置開発における実用環境下に近い場合のふく射伝熱現象に関する理解が深まった.これらの知見を用いて,可搬自衛噴霧装置や消火ホースなど,消防職員の命を守る技術の開発に貢献できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ふく射伝熱と対流熱伝達のカップリング解析においてコードを確立し、いくつかの知見が得られている。また、水滴の経時変化に対するスペクトル応答評価などの実験的評価において、ポンプを購入し、ミスト噴霧の実験系を確立できている。以上から、本研究は「順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では乱流自然対流の熱伝達特性におけるふく射熱伝達の役割を明らかにするために,OpenFOAMによる吸収-非等方散乱性媒体であるミストを含む対流-ふく射の複合解析を行った.解析結果より,ふく射物性の違いは高温乱流場における対流・ふく射熱伝達特性に影響を及ぼすことが示され,これらの要因が光学厚さ・前方散乱強度によるものである可能性を示した. 本研究では,現状,水滴の蒸発の影響を無視している.そこで今後,周囲環境からの伝熱のミスト層への影響の把握のため,水滴の経時変化に対するスペクトル応答評価を行う.また,加熱下のミスト層のふく射遮蔽性能の経時変化をFTIRによるスペクトル透過率測定により,直接評価する.また,ミスト全体の蒸発モデルの実装に先駆け,単一水粒子の蒸発過程と共に,蒸発過程における水粒子のふく射特性の変化を再現できるコードを実装する.ふく射伝熱を考慮した単一水粒子の蒸発過程に関する知見を得た後,ミスト全体の蒸発モデルの実装を目指す.
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Causes of Carryover |
世界経済に生じている流通の停滞により、購入を予定していた光学部品が当年度内に納品できないこととなったため。 次年度には当該部品は納入予定であり、その購入金に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)