2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 邦夫 大阪大学, 工学研究科, 助教 (60800852)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱物性 / 局所物理量 / 単原子スケール / 界面エネルギー輸送 / 非平衡分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,界面における1つの原子・分子に着目し,古典分子動力学法の範疇で,その原子・分子近傍の空間において3次元的な熱流束の構造,3次元的な温度分布,熱流束・温度の時間スケール特性,の相関性を探求することで,単原子スケールにおける熱伝導率を妥当な解釈・定義に基づき数値解析的に算出する方法論の創出を行う. 本年度は,比較的単純なポテンシャル関数であるLennard-Jonesポテンシャルによって相互作用する流体分子とフラットな固体原子壁面で構成される界面において,単原子・分子に着目し,単原子・分子近傍の3次元的な熱流束の構造と温度分布の相関性を明らかにすることを目的とした. 固液界面の基礎的なモデル(Lennard-Jonesポテンシャル)において,長時間の非平衡分子動力学解析を行うことにより,固体と液体の接している空間において,精密な熱流分布(3次元)を得ることができた.また,応力の3次元的な構造も取得し,単原子スケールの場において,支配的となる局所の熱流(強い熱流束を示す局所)では,熱流束と応力が線形性を示すことが明らかとなった.また,単原子スケールにおける熱流を検出するために要する計算時間も把握することができ,計算条件によるがμsオーダーの物理時間の計算が必要であることが分かった.今後の解析の指針となる情報を得ることができたと考えられる. 局所における温度の算出にも取り組んでいるが,単原子スケールにおける温度の定義や計算誤差を除いた算出に時間を要している.来年度も継続して取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的単純なポテンシャル関数であるLennard-Jonesポテンシャルによって相互作用する流体分子とフラットな固体原子壁面で構成される界面において,固液界面の3次元的な熱流束の構造を特定している.単原子スケールの温度の定義・算出に時間を要しており,来年度も継続して取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
単原子スケールで定義される温度・熱伝導率の算出に継続して取り組む.また,計算系内の温度・圧力等の熱力学的な条件の変化が熱伝導率に及ぼす影響を把握し,単原子スケールの熱伝導率の妥当な解釈・定義を明確にする.そして,界面における単原子スケールの熱物性の変化と巨視的な熱輸送特性の変化の相関性を明確にする.
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