2021 Fiscal Year Research-status Report
三相界面の微視的力学バランスに基づいた固体表面ナノバブル制御指針の構築
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21K14098
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
永島 浩樹 琉球大学, 工学部, 助教 (00759144)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノバブル / 分子動力学法 / 三相界面 / ヤングの式 / 力学的バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
固体壁面上のナノバブルの三相界面における微視的力学的バランスを、分子動力学(MD)法を用いて解析を行った。微視的力学バランスの解析は、ヤングの式の成立性の観点より、固体壁面の濡れ性を変化させて行った。固体壁面の濡れ性は、親水性の表面の一部を疎水性にした壁面(壁面1)と、中性の表面の一部を疎水性にした壁面(壁面2)の2つの壁面パターンで行った。ヤングの式における各表面張力は、計算領域を微小領域に分割し、その領域内の圧力をMD法より計算することで算出した。その結果、壁面1の場合、ヤングの式は成立しないが、表面2の場合はヤングの式が成立することが分かった。この結果より、微視的力学バランスは、固体壁面の濡れ性によって変化することが明らかとなった。また、ヤングの式が成立しない表面1の場合、濡れ性が変化する境界で三相界面が固定されており、ヤングの式では考慮されていない力を確認した。これがピニング力と呼ばれるものであり、本研究により初めて数値的に観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標である固体壁面上のナノバブルの制御指針の構築において、固体壁面の化学的性質及び物理的構造と、三相界面における微視的力学バランスの関係を明らかにすることは重要な課題のひとつである。この課題に対して、昨年度は、固体壁面の化学的性質を変化させヤングの式に基づいて解析を行い、ナノバブルの形状変化と三相界面の微視的力学バランスの変化との関係を明らかにすることができた。これより、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、固体壁面の化学的性質である濡れ性に着目して解析を行い、三相界面における微視的力学バランスを明らかにした。今後は、壁面のナノ構造を変化させた場合及び壁面の温度を変化させた場合について、三相界面における微視的力学バランスをヤングの式に基づいて解析を行う。これらの結果より、ナノバブルの形状と、固体壁面の化学的性質、物理的構造、温度との関係に関する知見を集積し、固体壁面上のナノバブルの制御指針を示す。
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Causes of Carryover |
大学院生への謝金として計上していた予算があったが、本テーマを担当する学生が配属されなかったため、その分の差額が生じた。また、参加予定であった国際会議がオンラインになったため旅費を使用しなかった。 次年度は複数の国際会議に参加し発表を行う予定であるため、差額分はその旅費などに使用する。また、次年度大学院生が本研究テーマ配属になった場合、その学生へ謝金を支払う。
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