2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of flamelet model for multi-feed system in low NOx combustor
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21K14100
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
山本 姫子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (50791571)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Flameletモデル / 複数供給系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当量比や初期温度が異なる複数の供給系を組み合わせることで有害な窒素酸化物(NOx)を低減する低NOx燃焼器の燃焼現象の高速・高精度な再現に向けて、上流の反応で変化した温度や化学組成が下流の反応に与える影響を考慮することで複数供給系を表現するFlameletモデルの構築と検証を行う。一年目となる本年度は「従来方法をベースとした複数供給系を表現するFlameletモデルの構築とこれを改良する提案モデルの検討」を実施した。 上流に燃料と一次酸化剤の反応領域、下流に上流側反応による既燃ガスと二次酸化剤の反応領域が存在する流れ場を対象に、従来方法をベースとした複数供給系を表現するFlameletモデル(Flamelet/Progress-Variable Approach)の三種類の定式化(①一次酸化剤を二次酸化剤に分配、②一次酸化剤を燃料に分配、③一次酸化剤を燃料・二次酸化剤に分配)を整理し、内製の圧縮性流体解析ソルバに実装し動作確認を行った。また、これらのFlameletモデルを改良する提案モデルの構築に向けて、一次酸化剤と燃料の反応による既燃ガスと二次酸化剤との反応を考慮するFlameletテーブルの作成を試行した。さらに、次年度以降取り組む、複数供給系を表現するFlameletモデルの提案モデルの検証に用いる計算対象として、多孔質円筒ノズルを用いた基礎燃焼試験に着目し、燃料・酸化剤流速の変化に対する火炎形状や安定限界の調査を行った。本燃焼場を対象に簡略化反応機構を用いたRANS解析を商用ソフトにより実施し、試験における燃料・酸化剤流速と火炎浮き上がり高さの関係を定性的に再現可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べた通り、一年目となる本年度は「従来方法をベースとした複数供給系を表現するFlameletモデルの構築とこれを改良する提案モデルの検討」を実施した。 従来方法をベースとした複数供給系を表現するFlameletモデルの三種類の定式化を整理し、圧縮性流体解析ソルバに実装し動作確認を行った。また、これらのFlameletモデルを改良する提案モデルの構築に向けて、一次酸化剤と燃料の反応による既燃ガスと二次酸化剤との反応を考慮するFlameletテーブルの作成を試行した。ニューラルネットワークの訓練をLevenberg-Marquardt法を用いて行うことで、これらのFlameletテーブルを高精度に近似し省メモリ化が可能であることを確認した。一方、訓練データの違いによるニューラルネットワークの近似精度のばらつきの影響を排除するため、各モデルの比較は線形補間によるFlameletテーブルを用いた数値解析により実施する判断を行った。 当初の計画では、次年度以降に実施する提案モデルの検証では、燃料・酸化剤・フィルム冷却用燃料からなるDLRサブスケール燃焼器の燃焼場を計算対象とする予定であったが、複数供給系による影響がより顕著となると考えられる多孔質円筒ノズルを用いた基礎燃焼試験に着目し解析検討を行った。次年度以降は本燃焼場を対象に検証解析を行う見通しが立ったことから、進捗状況は「おおむね順調に進展している」とする。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目となる本年度は、前年度に構築した複数供給系を表現するFlameletモデルを用い、多孔質円筒ノズルを用いた基礎燃焼試験を対象とする数値解析を実施し、前年度に実施した解析結果および試験結果との比較考察を行う。 本解析を実現するため、複数供給系を表現するFlameletモデルの大規模Flameletテーブルの作成手順を効率化する自動化プログラムの作成を実施する。実機を対象とするような大規模並列計算では、並列数に応じて分割された各領域がFlameletテーブルの情報を別個に有する必要があるため、数値解析のメモリ使用量の大半がこれに費やされるおそれがある。また、本研究で扱う圧縮性流体解析ソルバでは、Flameletテーブルから取得する化学組成に対し流れ場のエネルギー保存が満たされるように陰的に温度・圧力を算出する必要があるため、Flameletテーブルの精度要件は通常よりも高く、各入力変数の刻み幅を適切に与える必要がある。これらの課題に対し、Flameletテーブルのメモリ使用量と精度を両立する適切な各入力変数の刻み幅を算出し、一次元対向流拡散火炎の再解析や解析結果の内挿を行う自動化プログラムの構築を行う。
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Causes of Carryover |
機械学習を用いたFlameletテーブル作成作業および燃焼数値解析がJAXAスパコンにより実施可能となったことから、当初予定していたワークステーションの購入を行わず、次年度への持ち越しが生じた。次年度予算はFlameletテーブル作成作業の効率化を行う自動化プログラム作成の用途で使用予定である。
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