2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14106
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
久野 翔太郎 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00825945)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱音響自励振動 / 集中系モデル / 固有値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,熱音響現象を解析可能な集中質量モデルの構築とモデルを用いた熱音響自励振動の解析手法の開発を目的とする.また,開発した手法を利用して,振動学的に熱音響自励振動メカニズムの考察を行い,熱音響デバイスの改良方法について検討する. 今年度の研究実績の概要は以下の通りである.(1):線形領域の熱音響現象を解析するための集中質量モデルを開発した.作成したモデルの運動方程式は,多自由度の2階常微分方程式であらわされるが,各係数が周波数に依存する特徴がある.(2):作成したモデルは各係数が周波数に依存するため通常の固有値解析手法が適用できない問題があった.そこで,開発したモデルにLU分解と2分法を適用することで,温度勾配のある音響管の固有振動数の解析を可能にした.(3):蓄熱器を挿入した音響管を対象として,蓄熱器両端の温度差と周波数を変更した場合の安定性解析を行った.結果は過去の研究結果とよく一致しており,提案手法の妥当性を確認できた.(4):線形モデルを用いたメカニズム解析や実験装置の作成について基礎的な検討を行い,今後の研究推進方針に関する知見を得た. 今後は,線形モデルにおける熱音響自励振動のメカニズム考察を行う.提案モデルは,ばね質点系で表されるため振動学的な観点から考察が可能となる.しかしながら,熱の影響を取り入れた場合に要素の両端の質点の平均変位(要素の重心変位)に比例する力が現れることが分かった.この項は一般的な振動系では現れないため,過去の知見を利用する場合の障害となっている.そこで,熱が振動系に与える影響の定式化を見直し,メカニズム検討が容易になる方程式の構築を検討する.また,非線形モデルへの拡張および非線形系の解析手法の構築を並行して検討する予定である.さらに,線形領域の現象を再現する実験装置を作成し,実験結果と作成したモデルによる解析結果を比較する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,作成したモデルを用いて熱音響自励振動の安定性解析を行う手法を構築することができた.メカニズムの考察に関しても,数値的な検討を行うことができた.一方で,熱の影響を取り入れた場合に要素の両端の質点の平均変位(要素の重心変位)に比例する力が現れる問題があり,物理的な考察が十分にできていない.しかしながら,来年度に予定していた実験装置の準備に関して一定の進捗が得られており,総合的な進捗状況はおおむね順調と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,線形モデルにおける熱音響自励振動のメカニズム考察,非線形モデルへの拡張,および実験装置の作成・実験を行う.
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも研究における数値計算の負荷が大きかったため,今後の進捗も考えて数値計算用のPCを購入する方針に変更した.残金は実験装置の購入に使用する予定であるため,次年度への繰り越しを希望する.
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Research Products
(4 results)