2022 Fiscal Year Research-status Report
固有振動数成分除去法を用いた残留振動制御に関する研究
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21K14108
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| Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
栗原 海 神奈川大学, 工学部, 助教 (90896888)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 振動制御 / 天井走行クレーン / 残留振動 / 固有振動数成分 / 非線形系 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,天井走行クレーンの制御入力設計に固有振動数成分除去法を提案する.線形不減衰系について,有限時間作用する外力が系の固有振動数成分を持たないなら,外力が作用し終わったとき残留振動が生じない,という性質がある.この性質を非線形性や減衰を有する一般的な系の制御に応用した手法が固有振動数成分除去法である.この手法を天井走行クレーンのオープンループ制御に適用し,台車への制御入力のみで吊り荷の残留振動を抑制しつつ,指定時間で目的位置に搬送する手法の確立を目指す. 本研究で実施を計画していた事項は,一つは多自由度系モデルに対する固有振動数成分除去法の有効性の検証,もう一つはロープ長さの変化を利用したアクチュエータへの負荷を軽減する手法の開発である. フックと吊り荷を模した二つの質点からなる二重振子型のクレーンモデルに対して提案手法を用いて残留振動を抑制できることを昨年度に検証した.本年度は二重振子の固有振動数の推定誤差に対するロバスト性の向上手法について検討を行った.二重振子型のモデルでは非線形性や減衰の影響を外力と捉えたみなし外力を2つ求め,それぞれから対応する固有振動数成分を除去することで残留振動の抑制を行った.そのみなし外力にさらに対象としている固有振動数まわりの成分も小さくする条件を新たに与えることで,ロバスト性を向上させられることを示した.さらにフックの位置がロバスト性に及ぼす影響を検討し,フックの位置が高くなるほどロバスト性は向上しにくいことを明らかにした. これらの成果により,実用時に生じうる問題を解決でき,より現実に即した制御が可能であることを示せた.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で実施を計画していた事項は,一つは多自由度系モデルへの適用,もう一つはロープ長さの変化を利用した手法の開発である.また,それぞれの事項に関して,手法の考案,数値シミュレーションによる検証,実験による検証,という手順を踏む計画である.現在は両事項について数値シミュレーションによる検証までは概ねできている.本年度開始時点での計画では実験機の完成を夏頃に予定していたが,実験機の作成に必要な部品の納品が2023年2月まで遅れたため未だに完成できていない.そのため,実験による検証を実施できていないため当初の計画よりもやや遅れている.
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は実験による検証を主に進めていく.実験機は作成中であり,必要な部品はそろっているため間もなく完成できるものと考えている.完成すれば,まずは多自由度系モデルへの本手法の有効性を検証する.それと同時に振子に取り付けた重りを移動させられる機構を作成し,ロープ長さの変化を利用した制御手法の検証を行う.また,それと並行して数値シミュレーションによる検証結果のパターンを増やしていく.
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| Causes of Carryover |
前年度未使用額も含めて当該年度の所要額の内98%は使用しており,残額を消費するために使用するよりは次年度に持ち越して合わせて使用したほうが用途が広がると考えたため.次年度は旅費や論文投稿費に使用する予定である.
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