2021 Fiscal Year Research-status Report
鉄道車両の運動解析を活用した軌間拡大箇所の効率的な検出手法の研究
Project/Area Number |
21K14113
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Research Institution | National Traffic Safety and Environment Laboratory |
Principal Investigator |
一柳 洋輔 独立行政法人交通安全環境研究所, その他部局等, 研究員 (60887529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄道 / 車両運動解析 / 軌道変位 / 軌間拡大 / 車体振動加速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
軌道変位(レールのゆがみ)は鉄道車両の通過の繰り返しなどに伴い発生し、走行安全性に影響する。営業車両を用いて日常的に軌道状態を監視する手法が提案されているが、軌道変位の中でも軌間変位(左右レールの間隔のずれ)の推定手法は明らかでない。 本研究では、営業運転中の車両内に設置可能な小型で安価な慣性センサで日常的に計測が可能な車体振動加速度及び角加速度の計測値から、車両運動シミュレーションを活用して軌間変位が増大している可能性がある箇所を特定するシステムを構築する。 令和3年度は車輪とレールの接触解析が可能な汎用マルチボディ・ダイナミクスシミュレーションの環境を整備し、一般的な在来線車両の運動モデル及び基本的な軌道モデルを構築した。車両が直線の軌道を走行する場合や、曲線区間を走行する場合、またその曲率半径などの軌道の設計値に加え、各種軌道変位が存在する軌道モデル上で車両モデルを走行させ、その際の車体振動加速度や角速度の値を計算することで、軌間変位を含む軌道変位が車両の運動に及ぼす影響についてデータを収集した。軌道モデルのレール支持剛性を様々な値に変化させることで、動的な軌道変位を模擬し、静的な軌道変位との差異についても調査した。 次に上記で収集した軌道変位と車体振動加速度及び角加速度のデータとの関連性を考察し、車体振動加速度及び角加速度から軌間変位が増大している箇所を推定するアルゴリズムの構築に着手した。今後もアルゴリズムの構築と実測データを用いた検証を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では令和3年度内に軌間変位を含む軌道変位と車体振動加速度等の関係を車両運動シミュレーションを用いて明らかにすること、及び車体振動加速度等から軌間拡大箇所を推定するアルゴリズム構築に着手することを計画していた。 令和3年度はマルチボディ・ダイナミクスシミュレーションの環境整備及び車両運動モデルを構築を実施し、各種軌道変位が存在する軌道上を走行させることで、軌間変位を含む軌道変位が車両の運動に及ぼす影響について様々な軌道条件におけるデータを収集することができた。また、収集したデータをもとに車体振動加速度等から軌間拡大箇所を推定するアルゴリズムの検討を開始したことから、当初の計画通りおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では車体振動加速度等と軌間拡大箇所との明確な関係性を捉えられてはいないが、当初の計画通り、車両振動加速度等と軌道変位との関係を分析し、軌間拡大箇所を推定するためのアルゴリズムを引き続き検討していく。推定アルゴリズムの構築後は、実測の車体振動と軌道変位のデータを用いて提案手法の妥当性の検証を実施する予定である。
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