2021 Fiscal Year Research-status Report
多関節筋構造の活用と関節間協調制御による四脚ロボットの高運動性能化
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21K14124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 隆紀 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10883572)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脚ロボット / 多関節筋 / 弾性機構 / 関節間協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,動物の筋骨格構造に特徴的な複数の関節をまたぐ多関節筋による,身体内の力学的エネルギー遷移・伝搬のメカニズムを規範とした,脚ロボットの運動性能向上である.このメカニズムを四脚ロボットに導入することを目標とし,段階的に脚部関節間および脚-体幹間の多関節筋構造を規範とした機構および制御を開発する計画である. 本年度は,動物の肢の関節間に備わる二関節筋を規範とした脚機構の動力学解析に取り組んだ.研究代表者らはこれまでの研究で,四足動物の後肢の股-膝関節間および膝-足関節間にある二関節間筋腱複合体に着目し,関節アクチュエータに対して直列または並列に弾性要素をもつ脚機構を開発した.この生物規範型脚機構を持つ1脚ロボットの動力学モデルを作成し,垂直跳躍運動中の二関節間筋腱複合体機構を介したエネルギー伝搬および各関節での仕事率の変化を解析した.その結果,しゃがみ込みから跳躍までの一連の運動において,機構がまたがる3つの関節間を遷移するように仕事率が推移しており,生物規範機構がロボットの垂直跳躍高さの向上に貢献していることを示した.実機を用いた実験でも,シミュレーション結果に類似した効果が確認できた.この手法は脚内の関節間のみならず,体幹を含む複数の関節自由度を持つモデルに適用可能である.また,この解析では,関節の可動範囲限界での前後のリンクの接触・一体化による重心運動への影響も観測でき,関節間の動力学的な干渉性を陽に考慮した運動制御方策の検討にも発展させられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り,脚内の複数の多関節間機構の運動への貢献を,動力学シミュレーションおよび実験を通して示せた.この手法は,今後モデルの自由度が増加しても使用可能であり,次年度以降の研究をスムーズに進める準備ができた.実験のための試作機の製作に時間を要しているが,次年度行う予定であった脚-体幹間の多関節筋規範機構を持つ試作機も合わせて設計開発を進められており,計画に前後があるものの,期間全体でみれば遅れは生じていない.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,脚の伸展運動に関わる3つの二関節間筋腱複合体を規範とした脚部実験機を開発しており,次年度はこのロボットの動力学モデルを用いた運動解析と検証実験を行う計画である.同時に,脚-体幹間の多関節筋規範機構を含む簡易四脚ロボット実験機の開発も進めている.段階的にロボット(モデル)の自由度を増やし,解析および実験を通してその効果を検証する予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも試作機の製作に時間を要したことで,計画していた国際会議発表を見送ったため,旅費の支出がなくなった.繰り越し分は翌年度の成果発表にかかる費用に充当する予定である.
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