2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14126
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
新竹 純 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (10821746)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ソフトロボティクス / ソフトポンプ / アクチュエータ / ポンプ / 誘電エラストマーアクチュエータ / 静電アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、内部的に実装できる繊維状ソフトポンプの製造方法の確立、ポンプの基礎的な性能特性の明確化、および実機の開発を通したソフトロボティクスへの有効性の検証を行うことを目的としている。本研究で提案する繊維状ソフトポンプは、シリコーンチューブと柔らかい電極から構成される。 当該年度では繊維状ポンプの製造方法の確立に主として取り組んだ。まず、ポンプの母体となるシリコーンチューブの材料および製作工程について試作を通した検討を行い、十分な柔らかさを持つ任意の直径のチューブの作製を可能とする方法を確立した。この方法では、型を用いるモールディングによってチューブを作製する。2種のシリコーンを特定の比率で混合したものを材料とし、型に流し込んで硬化するだけでチューブの作製が完了する。チューブと柔らかい電極の接着も確認でき、それによって基本的なポンプの製造方法を確立することができた。 実験用のポンプを製作する前段階として、液体のシーリングや絶縁耐性の確認を行った。その過程で、当該年度に製作したチューブそのものが、静電アクチュエータとして機能することを見出した。これは、本研究における副次的な成果である。また、繊維状ポンプを特性解析するための、圧力・流用センサーと治具からなるテストベンチの製作を行い、単純なポンプをサンプルとした簡易実験によって測定が正確に行えることを確認した。他方、これまでの知見に基づいて、海外の研究者との共同研究も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で提案する繊維状ソフトポンプは、シリコーンチューブと柔らかい電極から構成される。当該年度では繊維状ポンプの製造方法の確立に主として取り組んだ。まず、ポンプの母体となるシリコーンチューブの材料および製作工程について試作を通した検討を行い、十分な柔らかさを持つ任意の直径のチューブの作製を可能とする方法を確立した。この方法では、型を用いるモールディングによってチューブを作製する。2種のシリコーンを特定の比率で混合したものを材料とし、型に流し込んで硬化するだけでチューブの作製が完了する。シリコーンとしてDow Corning社製Sylgard 184とSmooth-On社製Ecoflex 00-30を用いた。これらの材料によってできたチューブに酸素プラズマ表面処理を施すことで、炭素ナノ粒子とシリコーンの混合物からなる電極材料が接着できることを確認した。また、その際の最適な処理条件を明らかにした。電極がチューブに接着できたことをもって、ポンプの製作方法の基本的な部分を確立した。また、ポンプを特性解析するための、圧力・流用センサーと治具からなるテストベンチの製作を行い、単純なポンプをサンプルとした簡易実験によって、測定が正確に行えることを確認した。 次に、ポンプ構造の液体に対する防水性や、高電圧印加に対する絶縁耐性を実験を通して確認した。その過程で、本研究で製作したチューブそのものが静電アクチュエータとして動作することを新たに発見した。この挙動は、チューブ内外の液体が電極として作用する際に発現するものである。当該年度においては進捗状況が良好であったことから、チューブの静電アクチュエータとしての特性解析を行い、その結果を学術論文として出版するに至った。 並行して、本研究でこれまでに得られた知見に基づいて、海外の研究者との共同研究を行った。具体的には、シリコーン製の検体サンプリング用ロボットアームの開発を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、繊維状ポンプの特性解析を行う。具体的には、印加電圧に応じて出力される圧力と流量を測定する。また、伸び変形した状態と曲げ変形した状態においても、同様の測定を行う。これらの実験では、すでに有用性が確認されている3M社製FC-40をポンプの駆動用液体として用いる。また、進捗状況に応じて、文献に見られる他の誘電性液体も使用し、ポンプの出力を最大化させる液体の種類についての知見を得る。以上を通して、繊維状ソフトポンプの基礎的な特性を把握し、性能向上と設計の指針を明らかにする。また、単位質量・体積・消費電力あたりの圧力と流量の観点から、特性解析の結果を市販のポンプと比較する。それによって、繊維状ソフトポンプの優位点と、それに適したロボットやデバイスの仕様を明らかにする。 繊維状ソフトポンプの特性が把握できた段階で、アクチュエータと共に編み込んだ、アクティブテキスタイルを開発する。開発したデバイスの変形をカメラによって、力をロードセルによって測定する。そして、測定結果を他研究の同タイプのデバイスと比較する。以上を通して、本研究の繊維状ソフトポンプのソフトロボティクスへの有効性を明らかにする。
|
Research Products
(5 results)