2021 Fiscal Year Research-status Report
力ベース2チャンネル型バイラテラル制御による人間動作の抽出・学習と上達
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21K14129
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
長津 裕己 中央大学, 理工学部, 助教 (60804987)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知能ロボティクス / 制御工学 / 力制御 / バイラテラル制御 / 知能機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、力情報のみを伝送する2チャンネル型バイラテラル制御(力ベースバイラテラル制御:FBC)に基づく人間動作情報の抽出・学習および動作再現の上達の実現に向けた研究を行う。まず、人間がFBCを介して、想定されうる複数の対象に対して動作を実行し力情報を抽出・蓄積し未知の対象への動作の汎化を実現する力の目標値とその積分値から算出される等価的な軌道の目標値を出力する動作モデルを構築する。さらに、未知の対象に対しては強化学習を適用することで、動作再現のための補償制御器を最適化する。これにより、汎化するだけでなく自律的に“上達”することで高精度・高確度な動作を実現するための原理を明らかにすることを目的とする。 今年度において、多自由度ロボットを用いたFBCに基づいた動作の記録、再生システムを構築し、FBCに基づいた動作再生システムのための動作再生補償器を導出することに成功した。本補償器によりFBCによって得られる記録動作データ・再生動作データ間の高い透明性を失うことなく動作再生システムの制御剛性を零(柔軟な接触力の再現システム)から無限大(ロバストな軌道情報の再現システム)まで任意に調整することが可能となる。これにより、未知の対象への適応性の向上が期待できるとともに、“上達”への足掛かりとなると考えられる。さらに、一般的に用いられているPID制御器による位置制御器又はPI制御器による速度制御器によって制御されるロボットにFBCを直接適用するための手法を導出することにも成功した。FBCはアドミッタンス制御型の力制御に基づいているため、位置制御または速度制御器システムとの親和性が高いため、本手法は、トルク制御を行った場合の性能を劣化することなく適用することが可能である。本手法によりFBCによる動作情報の抽出・学習および動作再現システムの適用範囲を拡張することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、多自由度ロボットを用いたFBCに基づいた動作の記録、再生システムを構築し、FBCに基づいた動作再生システムのための動作再生補償器を導出することができている。補償器により、記録動作データ・再生動作データ間の高い透明性を失うことなく動作再生システムの制御剛性を零から無限大まで任意に調整することを確認できた。これにより、未知の対象への適応性の向上が期待できるとともに、“上達”への足掛かりとなると考えられる。さらに、トルク制御ではなく、一般的に用いられている位置制御器又は速度制御器によって制御されるロボットにFBCの性能を劣化させることなく直接適用する手法も導出することができており、FBCによる動作情報の抽出・学習および動作再現システムの適用範囲を拡張することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、力情報のみを伝送する2チャンネル型バイラテラル制御(力ベースバイラテラル制御:FBC)に基づく人間動作情報の抽出・学習および動作再現の上達の実現に向けた研究を遂行する。バイラテラルシステムを構成するロボットの自由度を増設することで、対象となる動作の種類を増やす。また、未知の対象への動作の汎化を実現する力の目標値とその積分値から算出される等価的な軌道の目標値を出力する動作モデルについてさらに検討を進める。さらに、未知の対象への動作において動作再現のための補償制御器を最適化することで、汎化するだけでなく自律的に“上達”することで高精度・高確度な動作再現を実現することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初に参加を計画していた国際学術会議がオンライン形式での開催となり、旅費を支出することがなくなったため、次年度使用額が生じた。
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