2021 Fiscal Year Research-status Report
径方向に振動する電磁アクチュエータを用いた交流モータのトルクリップル低減法の構築
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21K14135
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
加藤 雅之 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20851265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 交流モータ / トルクリップル / リニアアクチュエータ / 電磁アクチュエータ / 振動アクチュエータ / SRモータ / ダンパ / コリオリ力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,交流モータにおけるトルクリップル抑制法の構築である.交流モータの回転子表面に設置されたリニア振動アクチュエータ(LOA)が半径方向に振動することにより生じるコリオリ力をトルクリップルの減衰に用いるのが基本方針である.2021年度の研究成果は以下のとおりである. ・多種多様な交流モータのうち,トルクリップル抑制の対象とするモータをスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)に限定した.SRモータは回転子の突極性を利用してトルクを出力するモータであり,トルクリップルが比較的大きいことが知られている.SRモータのドライバ(非対称Hブリッジインバータ)・フィードバック制御部・回転子運動を正確に表現可能なモータモデルを構築し,LOAの数値計算モデルと組み合わせた連成モデルをMATLAB/Simulink上で作成した. ・SRモータのトルクリップルを相殺するために必要なLOA可動子の理想的振動変位を前述の連成モデルに基づく数値シミュレーションから算出した.SRモータのトルクリップルには高調波成分が多く含まれるため,LOAに要求される可動子変位も同様に高調波成分を含み,結果的に三角波状の振動変位が要求されることが判明した. ・LOAの位置・電流制御系を連成モデルに組み込み,トルクリップル抑制効果を数値的に検証した.PID制御のみではLOA可動子を三角波状に振動させることができず,結果としてトルクリップルの高次成分を抑制することができなかったものの,基本次成分を目標値どおりに抑制できることが明らかになった.これらの研究成果は日本AEM学会誌およびIEEE Transactions on Magneticsにて公表されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で定めた2つの実施内容について以下にまとめる. ・SRモータとLOAの連成モデルを作成することに成功し,一定出力下におけるLOAの要求仕様(推力・ストローク・駆動周波数等)を試算する段階まで2021年度内で完了しており,当初の研究計画に沿っている. ・仕様決定されたLOAを磁界解析ソフトウェア上で最適設計する工程は未実施である.ただし,最適化の方針や計算環境は十分に整っており,2022年度中に完了できる見込みは立っている.
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Strategy for Future Research Activity |
・要求特性を満足するLOAを磁場解析ソフトウェア(JMAG)上で最適設計する.LOAの2次元モデルによる比較的短期間での磁場解析を実施する.その後,3次元モデルを磁場解析で評価し,2次元解析の結果と比較する.最終的には,IPMSMの回転子上面にLOAを配置した3次元アセンブリモデルの磁場解析を実行し,IPMSM・LOA間の相互干渉(モータ特性低下・損失増加等)の有無を明らかにする.ここでは,計算時間短縮のため複数台のワークステーションによる並列計算を行う. ・3次元アセンブリモデルに対し,磁場・構造の連成解析により試作機の製作可能性を吟味する.特に,LOAの取り付け位置/方法,ばねの選択(コイルばねor板ばね)といった製作上のパラメータに着目する.これらのパラメータがIPMSM回転子にかかる応力分布や固定子の固有振動モードに及ぼす影響について連成解析から評価し,影響を最小化できるように最適なパラメータを算出する.磁場・構造の連成解析においても並列計算による高速化を試みる.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により国際会議がオンライン開催となったため,余剰金を繰り越すこととなった.令和4年度の物品費に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)