2021 Fiscal Year Research-status Report
高速スイッチングと低サージを実現可能な階調制御型アクティブゲート駆動回路
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21K14151
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 大輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (10870230)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲート駆動回路 / SiC MOSFET / コモンモードノイズ / 電力変換器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,インバータやDC/DCコンバータの更なる高効率化および高電力密度化を目的とし,高速スイッチング時に生じるサージ電圧を抑制するための新しいアクティブゲート駆動回路を開発する。これは,回路構成を工夫することにより,アクティブゲート駆動回路の実用化への障壁であった専用ICを不要とし,入手性の良い汎用素子のみで構成できる技術についての研究である。 本年度は,提案するアクティブゲート駆動回路の動作原理を解析し,その結果を踏まえて実験回路の設計製作および動作実験を行い,以下の成果を得た。 (1) 主素子の応答とゲート駆動回路の時定数の関係について解析し,アクティブゲート駆動に必要な回路定数の設計法を示した。これにより,提案するアクティブゲート駆動回路は数点の汎用素子のみでゲート抵抗を高分解能に可変することができるので,従来のように専用ICを必要としないことを示した。 (2) 作製したゲート駆動回路の動作試験の結果,コモンモードノイズによりゲート駆動回路が誤動作してしまうという課題が明らかとなった。コモンモードノイズを低減するためにはコモンモードフィルタを挿入する必要があるが,回路の体積を増大させてしまうという課題が生じる。そこで,ゲート駆動回路の構成を工夫し,コモンモードノイズによる誤動作を防止する方法を提案した。これは,複数のマイクロプロセッサを協調して信号処理し,コモンモードノイズの影響を受けやすい期間を避けて信号を授受するすることにより,高速スイッチング時に生じるディジタル的な誤動作を軽減する方法についての研究である。また,PWM変調法を工夫することにより,コモンモードノイズそのものを低減する技術についても新たに提案している。 以上の成果について,国際会議での発表および特許出願を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に予定していたアクティブゲート駆動回路の開発において「研究実績の概要」で示したような誤動作の問題が生じた。そこで,新たに提案した誤動作対策を適用することで上記問題を軽減できることが明らかとなり,1年目の検討事項を概ね完了した。 以上の結果により,本研究は予定した通りの進捗が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に開発したアクティブゲート駆動回路の基本性能を評価するために,ダブルパルス試験によりサージ電圧の抑制効果を確認する予定である。さらに,連続スイッチング試験を行い,実際の電力変換器で想定されるような負荷条件についても,提案回路の妥当性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
本年度初頭に所属機関が異動となったため,異動先機関の設備を利用可能となり,当初の予定よりも設備費用を抑えることができた。また,昨今の社会情勢により参加予定の国際会議が中止となったため,外国旅費に残高が生じた。以上の理由より,次年度使用額が生じた。 次年度においては,アクティブゲート駆動回路の実証実験を行うにあたり,広帯域電流プローブと高電圧作動プローブを購入することで,提案回路の効果をより詳細に解析するための実験環境を構築する予定である。
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