2021 Fiscal Year Research-status Report
ローリングシャッタ型可視光通信における通信可能領域拡大に関する研究
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21K14159
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 雅之 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80845149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 可視光通信 / イメージセンサ / ローリングシャッタカメラ / 可視光ID |
Outline of Annual Research Achievements |
LEDを送信機に用いる可視光通信は,光源のある場所であればどこにでも通信機能を付加することができる.ポスト5G/6Gにおいて,可視光通信は,電波の使用が制限される場所での通信を補間・補助する役割が期待される通信技術である.可視光通信はカメラで受信することが可能であることから,スマートフォンを用いることで容易に導入可能である.本研究では,スマートフォンに一般に搭載されるローリングシャッタカメラを用いた可視光通信に着目する.ローリングシャッタ型可視光通信の課題として,通信距離が挙げられる.画像上でLED光源を捉えている行が情報をもつことから,所望の通信速度を達成するために十分な行数を投影できる通信距離を保つ必要がある.この性質から,LED 光源の投影面積が縮小する遠距離での通信が困難であり,また,移動により生じる投映面積の変化に柔軟に対応することができない.こうした課題は,ローリングシャッタ型可視光通信のサービス用途を制限してしまう.そこで本研究では,ローリングシャッタ型可視光通信の通信可能領域の拡大を目的とし,(1)重畳符号化を用いた通信距離の変化に柔軟な送受信手法および(2)複数カメラを用いた受信信号の選択/合成による通信距離の伸長を検討することで,その用途拡大を目指す. 令和3年度は,重畳符号化を用いた通信距離の変化に柔軟な送受信手法について検討を行った.提案手法は,遠距離データと近距離データの2種類のデータを重畳して伝送することで,近距離でのデータレートを低下させることなく遠距離での通信を可能とした.また,屋内通信実験により,従来手法に対して,スループットを約200bps改善しつつ,通信距離を30cm拡大することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ローリングシャッタ型可視光通信において,通信距離の変化に柔軟な送受信手法として重畳符号化を用いた繰り返し伝送を検討し,屋内通信実験を行った.実験結果から,重畳符号化を用いた繰り返し伝送は,従来手法に対し,スループットを約200bps改善しつつ,通信距離を30cm拡大し,その有効性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
重畳符号化を用いた通信距離の変化に柔軟な送受信手法について,令和3年度の検討では,ターゲット距離を2つとしていたが,さらなるモビリティ提供のためターゲット距離を増加させる.また,複数カメラを用いた受信信号の選択/合成による通信距離の伸長に関しての検討を進めることで,用途拡大を目指す.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,旅費として成果報告のための学会参加および共同研究者との打ち合わせに要する費用を計上していたが,学会のオンライン開催化,オンラインミーティングによる打合せとなったことから未使用額が生じた.次年度は,これまでに作成したローリングシャッタ型可視光通信のための実験装置にはさらなる改良が必要であることから,電子部品の購入に未使用額を充てる.また,令和3年度に検討した重畳符号化を用いた繰り返し伝送手法の成果報告のための学会参加費および旅費,論文掲載費に充てる.
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