2021 Fiscal Year Research-status Report
Applications of modern coding theory to DNA storage
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21K14160
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柴田 凌 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (60898401)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA / LDPC符号 / 確率推論 / 同期誤り訂正 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAストレージでは挿入・削除・反転誤りが生じ,その信頼性が大きく損なわれる.本研究では,LDPC符号に代表される確率推論に基づく現代的な符号理論をDNAストレージに対して展開することを目的としている.本年度の主な成果は以下のとおりである. (1) 挿入・削除・ランダム誤りが生じる通信路に対するLDPC符号の設計:従来のランダム誤り通信路(反転や加法的白色ガウス雑音)に対するLDPC符号は挿入・削除誤りに対する耐性を有さず,反対に,挿入・削除誤りに対するLDPC符号はランダム誤りに対する耐性を有さないことを明らかにした.さらに,様々な反転確率を持つ挿入・削除・反転通信路に対して適した非正則LDPC符号の設計法を提案した. (2) 結合型復号法に対する深層学習を用いた復号器の提案:本研究では,2ユーザーのマルチアクセス通信路に対して,深層展開に基づくLDPC符号化,及び結合型復号法を提案した.本手法のアイデアは挿入・削除・反転誤り通信路に対するLDPC符号の結合型復号法に拡張することが可能となった. (3) DNAストレージで生じる挿入・削除・反転誤りの通信路モデル化:DNAストレージでは,ある符号語は多くの短いDNA鎖に分割され保存される.また,それぞれDNA鎖に対して挿入・削除・反転誤りが発生する.本研究では,複数の系列が異なる挿入・削除・反転誤り通信路を通して受信される通信路モデルを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAストレージで生じる挿入・削除・反転誤りの通信路モデル化,挿入・削除・ランダム誤り通信路に対するLDPC符号の設計・解析,など,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では,DNAストレージで生じる挿入・削除・反転通信路モデルの初歩的な検討を行った.今後の研究では,一様独立な入力とその出力の相互情報量として与えられる対称情報レートを計算することで,DNAストレージが保証する信頼性や効率性の理論的な限界を解明する.さらに,この通信路に適したLDPC符号化・復号法の検討を行う予定である.今年度提案した設計法を用いることで,理論的な限界に近づく符号構造を明らかにできると考えられる.
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Causes of Carryover |
現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である.
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