2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14167
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
XIAFUKAITI ALIFU 千葉大学, 大学院工学研究院, 特任研究員 (30899092)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 非回折光 / 散乱媒質 / 環状光 / 光散乱 / 物体検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高濃度散乱媒質中で生成された非回折光の自己修復性を利用した基礎研究に基づいて、修復された非回折光の強度分布変化による検出物体との相関を成立させ、散乱媒質中における未知物体の検知を実現することを目的とした。最初段階として、部分遮断した環状光の散乱媒質における伝搬後の非回折効果を評価した。部分遮蔽した環状光が非回折光に自己変換できる特性を空気中での光伝搬シミュレーションと散乱媒質中での伝搬実験を通して評価した。実験ではこれまで、光電子増倍管(PMT)、光ファイバーとコリメートレンズを用いた受光系で散乱光の点計測を行っていたため、長い計測時間により媒質沈殿の影響を受けて時間補正が必要となった。本研究では、テレセントリックレンズとICCDカメラを組み合わせた受光系を使用することで、短時間で散乱光の2次元強度分布の計測を試みた。しかし、新しい受光系で非回折光の自己修復過程を観測する前に、非回折光の計測可能性を検証する必要がある。今回は、PMTとICCDカメラを用いた計測結果を比較し、異なる視野角で生じる強度分布の違いを評価した。PMTの受光系はICCDカメラより大きい視野角を持つため、強度分布に現れる中心ピークの幅が広く計測される。そのため、PMTを用いた受光系の開口に一致するように、ICCDカメラの 73ピクセル分の視野での強度分布を求め、PMTの受光系で等価な強度分布になることを確認した。また、ICCDカメラの計測した強度分布には干渉縞が表れ、これはイメージングインテンシファイアシステムの入射ガラスでの干渉現象であることが分かった。この干渉縞を取り除くため、画像処理を行うことで、強度分布に非回折光の中心ピークが確認できた。この中心ピークが非回折光であることを、干渉縞の強度分布との比較、ならびに媒質濃度や計測距離の変化で検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、散乱媒質中において、環状光を非回折光に自己変換する前に,障害物に当たった場合の非回折効果を課題にした。そのため、まず空気中における部分遮蔽した環状光の伝搬シミュレーションを行い、遮蔽障害物の大きさによる非回折光への自己変換特性を調べた。さらに理論計算をもとに、散乱媒質中における部分遮蔽した環状光の伝搬実験を行い、散乱光の強度分布の変化を考察した。散乱媒質中での伝搬実験によって生成された中心ピークが非回折光に由来することを確認するため、散乱光の空気中伝搬実験を行った。結果として、直径 40 mm の環状光を0°~ 30°の遮蔽角度において非回折光に自己変換できるという結論を得た。 ICCDカメラとテレセントリックレンズを用いた受光光学系で、散乱媒質中環状光の伝搬により生成した非回折光の観測可能性を調べることを計画した。そのため、ICCDカメラとテレセントリックレンズを組み合わせた受光光学系と、PMTとコリメートレンズを用いた受光光学系で非回折光を測定し、比較を行った。非回折光の測定では、2つの結果を比較できるかを調べるため、ICCDカメラとテレセントリックレンズを組み合わせた受光光学系の視野角を測定し、PMTでの測定結果と等価な強度分布が得られることを確認した。ICCDカメラでの非回折光の測定では、ICCDカメラを用いた受光系の特性を調べ、非回折光測定の結果を補正することで、非回折光の中心ピークを確認することができた。縦横両軸の強度分布の確認、非回折光の空気中伝搬距離を変えた計測により、中心ピークが非回折光であることを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、受光系の視野角を変化させ、散乱媒質中での環状光伝搬によって生じた多重散乱光の成分を考え、非回折光の中心幅と中心強度への影響を解析する。これが散乱媒質中での物体検出の分解能につながる。また、散乱媒質内にハードターゲットを置いたときの非回折光への影響も課題として挙げられる。今回、テレセントリック光学系によって准直進光を選択的に計測したが、標準レンズとICCDの組み合わせでも視野角が十分狭くあることが確認できた。次年度は計画通り、異なる受光視野角で散乱光強度分布の変化を評価し、高濃度散乱媒質の伝搬距離と濃度を制御した非回折光を利用して、光学系の視野角と計測分解能との関係を明らかにする。また、高濃度散乱媒質中で生成された非回折光の自己修復性を利用した基礎研究に基づいて、修復された非回折光の強度分布変化による検出物体との相関を成立させ、散乱媒質中における未知物体の検知を実現する予定である。
|