2023 Fiscal Year Annual Research Report
紫外電気化学発光素子の開発とマイクロ化学分析用面光源への応用
Project/Area Number |
21K14170
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
笠原 崇史 法政大学, 理工学部, 准教授 (10707714)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気化学発光 / 電子移動反応 / 発光補助ドーパント / 蛍光 / 燐光 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、電気化学発光(ECL)素子における、燐光分子の励起状態の効率的生成について検討した。電流により分子が励起状態となった場合、電子スピンの組み合わせから、一重項励起状態(S1)と三重項励起状態(T1)が、25%:75%の比で生成される。そのため、T1状態から光エネルギーを取り出せる、イリジウム錯体などの燐光分子は、蛍光分子を用いたECL素子より高輝度・高効率化が期待される。そこで、本年度は、令和4年度に得た、異分子のラジカルイオン間の電子移動反応を利用した黄色蛍光分子(ルブレン)の励起状態の生成手法が、燐光ECL素子にも適用可能か検証するために、黄色イリジウム錯体(Ir(BT)2(acac))と発光補助ドーパント(2CzPN)とを組み合わせた溶液を調製した。その結果、2CzPNを含まない溶液を充填したマイクロ流体ECLデバイスでは、最大輝度は0.18 cd/m2あったが、2CzPNを添加することで113 cd/m2まで向上した。両分子の酸化還元特性から、デバイス内ではIr(BT)2(acac)のラジカルカチオンと2CzPNのラジカルアニオンとが衝突することで、効率的に励起状態のIr(BT)2(acac)が生成されたと考察している。 本研究課題では、高輝度・高効率面発光ECL光源の実現を目指し、令和3年度は、ワイドギャップ材料であるフルオレン誘導体を用いた近紫外ECL素子を検討するとともに、アルミニウム添加酸化亜鉛ナノ粒子を電子注入層として組み込んだマイクロ流体ECLデバイスの作製法を発展させた。その研究過程で得た知見を基に、令和4年度には、発光補助ドーパントを用いた黄色蛍光ECL素子を、令和5年度は黄色燐光ECL素子を発展させ、ECL分野ではトップレベルの発光特性を得ている。
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