2023 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折によるSi基板上エピタキシャル圧電薄膜の圧電主要因子の解明
Project/Area Number |
21K14200
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
譚 ゴオン 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (00806060)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 圧電薄膜 / エピタキシャル成長 / 放射光X線回折測定 / 結晶構造解析 / MEMSデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでに研究例の少ないSi基板上のエピタキシャル圧電薄膜の圧電応答について、微視的・巨視的な特性の両方を明らかにし、圧電特性に寄与する結晶学的な因子を明らかにすることを目的としている。 R5年度は、R4年度に取り組んだバッファ層付きSi基板上に作製した様々なZr/Ti組成比のエピタキシャルPZT薄膜に対して、圧電特性の評価および結晶構造解析を実施した。さらに放射光施設SPring-8で電場を印加しながらのXRD測定にも取り組んだ。スパッタ法でバッファ層付きSi基板上に作製したPZT薄膜に関しては、Si基板上に作製した同組成の多結晶PZT薄膜に比べて低い誘電率を示し、圧電定数は印加電圧に対してより一定の傾向を示していた。これにより、振動発電素子(エナジーハーベスタ)としての性能指数が大きく、実際にデバイス応用のため素子を試作したところ、大きな振動発電が得られた。この結果を論文として発表した。SPring-8の測定においては、液相法の一つであるゾルゲル法を用いて作製したバッファ層付きSi基板上のエピタキシャルPZT薄膜に対して、電圧印加下でのXRD測定を行った。その結果、組成比の違いによって結晶ひずみを引き起こしている要因が大きく異なることが確かめられた。例えば、正方晶系の組成比を有するPZT薄膜に関しては格子ひずみの寄与はほとんど見られず、ドメイン回転によるひずみが大きく影響しているのに対して、菱面体晶系の組成比を有するPZT薄膜ではドメイン回転の寄与がほぼ見られず、代わりに大きな格子ひずみが観察された。この結果により、圧電効果の起源についての理解を深めることができた。得られた結果を論文としてまとめた。
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Research Products
(5 results)