2021 Fiscal Year Research-status Report
フォトレジスト薄膜中における化学組成分布がパターン線幅粗さに与える影響の解明
Project/Area Number |
21K14212
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山川 進二 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (90876252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フォトレジスト / 軟X線共鳴散乱 / 接触角測定 / XANES / 高分子合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レジスト中の組成材の空間分布が線幅のバラツキ具合に与える影響を評価するために、レジスト合成、基板上に塗布したレジスト薄膜中の化学組成分布評価および、パタニング後のLWR評価を行う。2021年度は以下の3点を中心に研究を進めた。 ・光酸発生剤(PAG)含有型レジスト合成ルートの確立:市販のベースポリマー側鎖中にPAGを修飾することでPAG含有型レジストを合成した。得られたレジスト中のアニオン種についてXANES測定した結果、サンプルによってカチオン種とアニオン種の存在比率が異なることが判明した。反応終了前にアニオン種のナトリウム塩を添加した系は、塩添加していない系と比較してアニオン種の存在比率が高かった。このことからポリマー中へのPAGの修飾反応中に塩交換が生じたことが判明し、より正確なPAG含有型レジスト合成ルートの確立に至った。 ・接触角測定によるレジスト薄膜の表面評価:レジスト薄膜の化学組成分布評価を目的に、シリコン基板上にスピンコートしたレジスト薄膜について接触角測定を行った。PAGとポリマーを物理混合したPAG混合型レジスト薄膜では、基板中心部から外縁部に向かって接触角が大きくなったが、ポリマーのみの薄膜では異なる挙動を示した。接触角が大きいほど疎水的であり、PAGはポリマーと比較して疎水性なため、スピンコート時の遠心力によってPAGが外縁部へと凝集したことが示唆される。 ・軟X線散乱測定によるレジスト薄膜中の組成サイズ分布評価:シリコン基板上に成膜したレジスト薄膜の軟X線散乱を測定した。薄膜厚さが薄くなるにつれて散乱強度が大きくなることを明らかとした。これは薄い膜ほど化学組成が大きなサイズに凝集していることを意味する。加えてPAG混合型レジストは、ポリマーのみのレジストと比較して散乱光の強度が強く、より大きな凝集が生じていることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究ではレジストの合成および、レジスト薄膜中の組成分布評価が重要である。 2021年度はPAGをベースポリマー側鎖に有するPAG含有型レジストの合成について、反応条件を検討した。得られたレジストのXANES測定結果を反映することで、より正確な材料合成ルートを確立できた。 また、レジスト薄膜中の化学組成分布を接触角測定および軟X線散乱によって評価した。PAGとポリマーを混合したPAG混合型レジストでは、ポリマーのみのレジストと比較して、より化学組成が凝集しやすいことが強く示唆された。言い換えれば、一成分系のレジストは多成分系のレジストより組成が比較的均一に分布していることが確認できた。 今後はこれらの評価方法を合成したレジストにも適用する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に合成したPAG含有型レジストについても、接触角測定や軟X線散乱による化学組成分布の評価を進める。レジスト中のPAGの比率、アニオン種、ベースポリマー骨格についても検討し、系統的に情報を収集する。 また、新規に合成したレジストはパタンデータがないため、電子線リソグラフィやEUV干渉露光によりパタン描画を実施し、LWR測定を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度において、備品としてコンビニ・エバポおよびオプションのダイアフラム真空ポンプの購入を予定していたが、計画の進捗具合から合成実験よりもレジスト薄膜の評価に必要な物品を優先して購入した。予算がコンビニ・エバポおよびポンプの購入予定金額を下回ったため、これら備品の購入を次年度に延期した。2022年度は合成実験に必要となるため、既に購入の手配を進めている。
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