2022 Fiscal Year Research-status Report
フォトレジスト薄膜中における化学組成分布がパターン線幅粗さに与える影響の解明
Project/Area Number |
21K14212
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山川 進二 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (90876252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フォトレジスト / 軟X線共鳴散乱 / EUV干渉露光 / 高分子合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レジスト中の組成材の空間分布が線幅のバラツキ具合に与える影響を評価するために、レジスト合成、基板上に塗布したレジスト薄膜中の化学組成分布評価および、パタニング後のLWR評価を行う。2022年度は以下の2点に重点を置いて研究を進めた。 ・軟X線散乱測定によるレジスト薄膜中の化学組成の空間分布評価(継続):レジスト中の組成の空間分布評価について、軟X線共鳴散乱測定を継続して実施した。これにより軟X線を照射したサンプルからの散乱強度の強弱によって、材料中の凝集といった散乱源の多少を比較できる。シリコン基板上に塗布したレジストサンプルについて検討した。レジストは極性の異なる一般的なレジストに加え、本研究過程で合成した感光剤(PAG)ユニットをポリマー中に有するレジストを用いた。その結果、比較的低極性なレジストは極性の高いレジストに比べて散乱光の強度が低いことがわかった。これは散乱源が少ないことを意味し、材料中の化学組成の凝集が少ないことを意味する。また極性の高いレジストに比較的極性の低いPAGを添加、あるいはポリマー中に導入することで、その散乱光強度が低下することも明らかとなった。これらの結果から、レジストの全体的な極性(あるいは極性の差)を小さくすることが、レジスト薄膜中の凝集抑制に効果的だと考えられる。 ・EUV干渉露光装置のアップグレード:レジストのパタニング後のLWR評価のために、EUV干渉露光装置のアップグレードを実施した。パタニングにはEUV光の露光条件を多数検討する必要があるが、従来セットアップでは15ショット/枚程度の露光を手動でしかできなかったためである。アップグレードにより3倍以上の48ショット/枚を自動露光できるようになり、実験効率が大幅に向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではレジスト薄膜中の組成分布評価が重要である。 2022年度は、極性が異なるレジスト薄膜中の化学組成分布を軟X線散乱によって評価した。比較的、低極性なレジストは高極性なレジストに比べて散乱強度が小さいことがわかった。これは散乱源として考えられる化学組成の凝集が少ないことを意味する。また高極性なレジストでも相対的に極性の低いPAGを加えることで、凝集が抑制される傾向が見られた。これらの結果より、レジスト全体の極性、又は極性の差を小さくすることが、化学組成の分布を均一にすることに効果的だと考えられる。これは一般的な有機・高分子化学の知見からも妥当だと思われる。 また、EUV干渉露光装置のアップグレードを行ったことで、これらのレジストのパタニング後LWRの評価が効率的に行えるようになった。これにより、化学組成分布の異なるサンプルと、そのLWR性能の相関関係を探索できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに判明した化学組成の異なるサンプルについて、パタニング後のLWR評価を進める。また評価対象であるレジストも、PAGの比率やベースポリマー骨格に注目して種類を増やし、軟X線散乱による化学組成分布の評価を継続する。 これらの実験により、レジスト中の化学組成の空間分布が、パタニング後のLWR性能にどこまで影響を与えるか評価する。
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