2021 Fiscal Year Research-status Report
セルロースナノファイバーを基軸とした発光性ナノシートの創製と機能性デバイス開発
Project/Area Number |
21K14215
|
Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
常安 翔太 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助教 (40825395)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ペーパーエレクトロニクス / 面発光デバイス / 分散型EL / セルロースナノファイバー / フレキシブルエレクトロニクス / 機能性デバイス / ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、潜在的に素子構造の自由度に優れた分散型電界発光(EL)素子が構築可能な蛍光体粒子と、高強度・耐熱性・透明性に優れたセルロースナノファイバー(CNF)を複合化した発光性シートを作製し、発光層がシールのように再利用可能なステッカー型面発光デバイスを実現することを目指している。以下に、2021年度の研究内容を示す。 これまでの知見をベースに、蛍光体粒子とセルロース繊維から構成される発光性シートを作製し、透明電極間に挟み込むことにより分散型ELを構築した。本素子への交流電圧印加によって面発光を実現するとともに、本シートを電極間から物理的に取り出し、新たな電極を用いて再度分散型ELによる面発光が得られることを実証した。しかしながら、発光性シートの表面粗さに対応して、面発光輝度は不均一であった。そこで、EL特性に対して表面粗さが与える影響を定量的に明らかにするため、様々な粒子サイズの研磨剤から構成される研磨紙上に、基板透過率の影響を受けないトップエミッション構造の分散型ELを構築し、EL特性と研磨剤の粒子サイズの関係を評価した。その結果、電流密度および輝度は研磨剤の粒子サイズの増加とともに指数関数的に減少していることが明らかとなった。また、さらなる高輝度化のためには高負荷電圧が必要であるため、高輝度化に伴い発熱量が増加してしまう。素子温度がキュリー温度付近まで上昇すると、強誘電体の誘電率が低下することで強電界が印加できず、輝度が低下し短命化してしまうことが課題となっていた。これに対し、比較的高熱伝導性のCNF製フィルムに切り紙加工を施し、空気を対流させることで、高い放熱性を発揮する切り紙放熱システムを開発し、分散型ELの冷却性と切り紙の加工自在性の実証に成功した。この高い放熱効果により、強誘電体層の熱劣化を抑制することで、さらなる高電圧印加による高輝度化が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他機関への異動に伴う実験装置の移動により想定以上に研究開始が遅れたため、均一な面発光は得られていないものの、本研究課題のコンセプトの実証に成功している。また、高輝度化に向けての新たなアプローチとデバイス設計指針を開拓できたことから、(2)のおおむね順調に進展している、とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述のように、本研究課題のコンセプトは実証されたものの、面発光輝度の不均一性が課題となっている。2022年度は、均一な面発光を実現するため、ボールミルによる蛍光体粒子の均一化ならびに、加圧工程やカレンダ処理工程など抄紙条件を検討するだけでなく、その輝度ムラを2次元色彩輝度計により定量的に評価する予定である。
|
Causes of Carryover |
共著者が英文校正費を対応したため、次年度使用額が生じた。現在、執筆中の論文に対して使用する予定である。
|
Research Products
(7 results)