2021 Fiscal Year Research-status Report
水掛かりを受けるコンクリート構造物の劣化機構の理解と維持管理への提案
Project/Area Number |
21K14224
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小池 賢太郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (30781992)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水分移動 / 水掛かり / 鉄筋腐食 / マクロセル腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
RC構造物に対して作用する水掛かりなど,水の影響については,示方書レベルでは中性化に対してのみ論じられるにとどまり,塩害や中性化-塩害の複合劣化,その他劣化現象への対応は,未だ不十分と言える.これは水の影響を考慮した耐久性照査を行うにあたり,水掛かり部などの局所的な給水を受ける環境でのコンクリート中の劣化因子の移動特性や,それに起因した内部鋼材の腐食特性(マクロセルの形成や腐食速度など),劣化予測などが十分に体系化されていないことに起因するものと考えられる.また,補修工法についても,水掛かりの発生を抑制する工法あるいは水掛かりによる劣化を抑制する工法を選択することが望ましいが,現存する工法に対して効果を検証した事例は少ない. 本研究課題では上記課題に対して,以下①~④を検討項目として設定し,水掛かりを受けるコンクリート構造物の劣化機構の理解と維持管理への提案に取り組んでいる。今年度は①,②に関する検討を中心に行った. ①水掛かり部周辺における劣化因子の移動特性の把握/②水掛かり部周辺における内部鋼材の腐食特性の把握/③水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する補修工法の適用性検討/④水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する適切な維持管理手法の提案 研究結果の概要:今年度は,チタン電極を埋設した小型供試体および実構造物を模擬したRC梁供試体を用いて,水掛かり部周辺でのコンクリート中の水分移動特性,内部鉄筋の腐食特性を検討した.その結果,チタン電極を埋設した小型供試体より水掛かり部と非水掛かり部との間に顕著な相対湿度差の発生が確認された.またRC梁供試体を用いた実環境暴露より,水分供給の有無で腐食に差が生じることが確認された.さらに部材全面に水分が供給される環境と局所的な水掛かりを受ける環境を比較すると両者の腐食速度は概ね同程度となり,同程度の腐食が生じることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で検討項目として挙げた下記の4項目の内、①,②において定量的なデータを得ることができ、概ね計画通りの進捗となった。 ①水掛かり部周辺における劣化因子の移動特性の把握 ②水掛かり部周辺における内部鋼材の腐食特性の把握 ③水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する補修工法の適用性検討 ④水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する適切な維持管理手法の提案
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記検討項目の③,④を中心に検討を進めるが、①、②についてもセメント種類や水セメント比などの影響について別途評価する必要がある。 ①水掛かり部周辺における劣化因子の移動特性の把握 ②水掛かり部周辺における内部鋼材の腐食特性の把握 ③水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する補修工法の適用性検討 ④水掛かりを受けるコンクリート構造物に対する適切な維持管理手法の提案
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