2021 Fiscal Year Research-status Report
振動特性を考慮した三次元点群データによる橋梁変位計測システムの開発
Project/Area Number |
21K14228
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿久津 絢子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (10894496)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 橋梁振動 / 動的挙動 / 変位 / 動画分析 / 三次元点群データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,三次元点群データを用い,橋梁支承部等の変位取得を行う計測システムの構築を目指している.特に振動による誤差を低減するため,振動特性を考慮した三次元点群データによる橋梁変位計測システムの開発を目的としている. 本年度は振動誤差を低減方法に活用するため,動画から橋梁の振動を取得する方法について検討を行った.点群データの取得には,多くの地点から撮影した画像を組み合わせるが,まずは固定点から汎用デジタル一眼カメラにより取得した動画分析により橋梁の振動や変位の把握を試みた.橋梁は常時微動しているが,本年度は振動の取得可能性を向上させるため,交通荷重による振動を対象とすることとした.本研究では動画分析方法として,日射や影等による明暗の影響を低減するべく,2次元フーリエ変換した画像の輝度情報である振幅情報を正規化し,位相情報のみを使用する位相限定相関法をベースとした方法により動画から橋梁の変位や振動の取得方法を構築した. 動画分析方法は,はじめに振動試験機に表面状態の異なる2種類の鋼材からなるモデルを設置し,振動させた時の変位および振動数を分析する室内実験を行い,高い精度での変位と振動数を取得できることを確認した.次に,実橋梁での適用実験を行った.実橋梁では交通荷重による変位と振動を対象とし,橋梁に設置した加速度センサやレーザー変位計の値と提案する動画分析方法により取得した振動および変位を比較した.実橋梁での実験では,風によるカメラ自体の振動が計測結果に影響を及ぼすことが確認されたが,車両通行による橋梁の変位や振動の取得可能性を確認することができた.一方で風等による常時微動の振動取得は振動レベルとピクセル値の関係から課題が確認され,またカメラ側の振動の影響も計測精度に影響することが課題であるため,点群データ取得に際して対応方法を検討する必要があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたカメラの動画を活用した橋梁の振動特性取得方法について検討を行い,対象となる橋梁の振動特性を取得した動画を分析することにより把握可能なシステムを構築した.はじめに実験室において振動試験機を用いた実験を行い,計測対象となる材料の表面状態や室内の明るさの影響を受けにくく,高精度に振動および変位を取得可能であることを確認した.さらに現場での実験が難しい中でも実橋梁での適用実験を行うことができ,屋外環境,遠距離においても交通荷重による振動および変位の取得可能性を示すことができたため,本研究は概ね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
動画を用いた橋梁の振動および変位の取得方法について引き続き検討を行い,精度の向上,特に実橋梁での実験により明らかとなった屋外での風の影響の低減,常時微動等の微小振動の取得を目指す.微小振動の取得は望遠レンズの使用など,振動レベルとピクセル範囲とを合わせることにより取得可能であることを確認しているが,取得画像の点群データへの活用や振動や変位情報の可視化という観点からは極端な望遠レンズの使用は適さないと考えられる.そのため,本研究ではこれからサブピクセル分析の高度化等により適度な撮影範囲を保ちつつ,微小振動の取得可能な方法の構築を目指す.また,動画分析により取得した振動特性を点群データに使用する画像に適用し,取得された振動データと複数地点で同様に取得されたデータによる情報を利用し,同じ振幅位置画像を抽出するプログラムの開発を行う予定である.複数地点からの動画を使用し,複数画像の中から抽出された同じ振幅位置の画像を組み合わせることにより,振動による誤差を低減した三次元点群データを復元することができると考えている. 研究成果の公開に向けて準備を進めており,国内外での学会発表や論文投稿を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初想定していた計測現場に行くことができなかったため,また半導体不足により購入予定品の納期が間に合わなかったため.
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Research Products
(1 results)