2021 Fiscal Year Research-status Report
ゴム・樹脂・金属を含む複合材料の耐衝撃・制振性能を制御するトポロジー最適設計
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21K14229
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
干場 大也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80847038)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トポロジー最適化 / 複合ゴム構造 / 動的応答制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ゴム・樹脂・金属を含む複合材料の耐衝撃性・制振性といった動的応答の制御を目的として,複合材料内部の個々の材料配置・形状を決定する数値シミュレーションの枠組みを構築することである.そのために,既往のトポロジー最適化理論を拡張し,数値計算アルゴリズムの性質を踏まえて,個々の材料特性および設計問題に適合した手法を提案する. 上記の目的を踏まえ,これまでに2相複合ゴム材料の動的挙動を制御するためのトポロジー最適化の研究に取り組み,基礎的な検討を概ね完了している.具体的には,微小変形における一般化Maxwellモデルおよび有限要素法を用いて境界値問題を設定し,Maxwellモデルの純弾性要素が蓄えるエネルギーおよび粘弾性要素が蓄えるエネルギーを,それぞれ純弾性エネルギーおよび散逸エネルギーとみなし,それぞれを領域全体で積分したものを目的関数として定義した.また発展形として,材料レベルの粘性特性である損失正接(tanδ)の定義に倣い,振動外力下の純弾性剛性と粘弾性剛性の比をエネルギーベースで目的関数として定義し,これを複合構造全体の粘性特性と見なしている.この目的関数設定の意図は,複合構造領域の平均的な粘弾性特性の制御を意図しており,最大化あるいは最小化によって構造が弾性体として振る舞うか,粘性体として振る舞うかをコントロールすることにある.これに対し,得られた最適解の性能,数値計算コスト,計算精度および最適解の収束性について数値計算による検証を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通りに理論構築・プログラム実装作業が進行し,本研究の最適化シミュレーションによっておおむね期待通りの最適化構造が確認できた.具体的には,設計領域に加わる周期外力の大きさや周波数特性に応じて,粘性特性が向上するような複合ゴムの材料配置(トポロジー)が結果として得られている.また,一連の数値検証結果を踏まえて,目的関数および材料モデルの定義について数式上の若干の修正を加えており,そのプログラム実装作業が現在進行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,初年度から継続しているプログラム修正作業および検証作業を完了する. 次に,より高度な解析モデルとして,粘弾塑性材料モデルへの拡張および有限変形への拡張を行う.微小変形・粘弾性モデルでの段階と同様に,プログラムへ実装・性能をする.粘弾塑性材料モデルへ拡張すると,レオロジーモデルの構成要素が追加され材料構成則の散逸エネルギーの内訳が変化するため,ここでも前述の定式化が有効であるかどうかを確認する.また,有限変形への拡張について,構造応答の非線型性が強くなることで,計算安定性および収束性の悪化が予想される.それらを回避するための手法について,発生する問題の特徴を踏まえ,適当なアルゴリズムについて検討・実装する.
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Research Products
(2 results)