2021 Fiscal Year Research-status Report
大断面RC単柱でのセルフセンタリング機構を実現する埋込立体フレームコアの開発
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21K14231
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
植村 佳大 京都大学, 工学研究科, 助教 (80882133)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 柱構造 / 鉄筋コンクリート構造 / 復旧性 / セルフセンタリング |
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| Outline of Annual Research Achievements |
地震時にセルフセンタリング機構(柱が地震後に元の位置に戻る機構)を実現する鉄筋コンクリート(RC)柱(セルフセンタリング柱)は，セルフセンタリング機構による復旧性向上効果と引き換えにエネルギー吸収能が低下し，地震応答が増大する課題がある．本研究では，RC単柱においてセルフセンタリング機構とエネルギー吸収能の両立を可能とする構造技術の開発を目指す．具体的には，地震時には従来のRC柱と同様にふるまい，地震後の復旧時においてのみセルフセンタリング機構が顕在化するRC柱を提案する．
今年度は，セルフセンタリング機構を有するコンクリート充填鋼管(CFT)を内部に埋め込んだRC単柱(以下，検討構造と呼ぶ)を検討対象とした．なお，過去に実施した検討によって，検討構造の地震時に示す復元力特性については静的解析によって評価済みであり，今年度の検討では，検討構造の地震後の復旧性能ならびに地震時の動的応答特性に着目することとした．
まず，実際の復旧活動を想定した検討として，地震後に残留変位が発生した検討構造に対し，柱基部の鉄筋とコンクリートを撤去してCFTを露出させる解析を実施した．この解析により，地震後の柱基部の塑性化部材撤去の際の検討構造の応答が把握可能となる．検討の結果，地震後に柱基部のCFTを露出させることで，CFTのセルフセンタリング機構が顕在化し，柱の残留変位が大幅に低減されることが示された．
加えて，検討構造，従来のセルフセンタリング柱，従来のRC柱の3種類の構造に対して地震応答解析を実施した．その結果，検討構造では，従来のセルフセンタリング柱と比較して地震時応答が低減されるとともに，通常のRC柱と同様の動的応答特性が発揮されることが示された．
以上の結果から，検討構造によって，RC単柱のセルフセンタリング機構とエネルギー吸収能が両立できる可能性が示されたといえる．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で提案する構造においてセルフセンタリング機構とエネルギー吸収能を両立させるために重要となる項目は2点ある．1点目は，RC柱単柱に埋め込んだ部材が有するセルフセンタリング機構が地震時応答の際に支配的にならないことである．そして2点目は，柱内部に埋め込んだ部材が有するセルフセンタリング機構が地震後に維持されていることである．
過去の検討では，検討構造である，セルフセンタリング機構を有するコンクリート充填鋼管(CFT)を内部に埋め込んだRC単柱が地震時に示す復元力特性について静的解析により検討を行った．しかし，この検討では，上記の1点目の項目に対する評価は可能であるものの，2点目の項目に対する評価を行うことができなかった．そうした中，今年度の検討では，実際の復旧活動を想定した検討として，地震後に残留変位が発生した検討構造に対し，柱基部の鉄筋およびコンクリートを撤去してCFTを露出させる解析を実施した．この解析により，地震後のCFTに残存するセルフセンタリング機構を評価することが可能であったとともに，その残存するセルフセンタリング機構により，検討構造の地震後の残留変位が復旧活動の中で低減させる可能性を示すことができた．加えて，今年度実施した地震動解析により，検討構造の動的応答特性の把握も完了している．
以上の理由から，本研究の目的である，セルフセンタリング機構とエネルギー吸収能が両立できる柱構造の実現に向けて，明確な方向性を示すことができたといえ，本研究課題の進捗は概ね順調であると判断できる．
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した解析的検討は，RC単柱の内部に1本のコンクリート充填鋼管(CFT)を埋め込んだ構造に対して実施した．今後の検討では，RC単柱の内部にラーメン型に配置した4本のCFTを埋め込んだ構造に対して解析的検討を実施し，必要なCFTの総断面積が減少するかどうかや，得られるセルフセンタリング機構がどのように変化するか等を検討する．また，中空断面のRC単柱の中空部にCFTを配置した構造についても検討を行い，CFTの周囲のRC構造の断面形状の最適化を図る．
また，本提案構造を実現するためには，上記の解析的検討に加え，模型供試体を用いた実験的検討を行うことで，提案構造の復元力特性や破壊性状を確認することが不可欠となる．よって，先述の解析的検討の結果も踏まえつつ，提案構造を模擬した実験供試体の設計を行い，本検討の目的であるセルフセンタリング機構とエネルギー吸収能の両立に向けた実証実験を実施する．具体的には，提案構造の地震時挙動および復元力特性を評価することを目的に正負交番載荷実験を実施するとともに，載荷実験終了後，地震後の復旧作業を想定した部材の撤去作業を鉛直軸力作用下で実施する．
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Research Products
(2 results)
