2021 Fiscal Year Research-status Report
構造システム挙動を考慮したFRP壁高欄における接合構造の合理化
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21K14234
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
林 厳 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教 (10869530)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複合材料 / 橋梁付属物 / 高力ボルト摩擦接合 / 高力ボルト引張接合 / 耐荷力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,橋梁付属物の施工性向上やメンテナンス負荷の低減を実現するため,軽量・高耐食性を有するFRPを壁高欄に適用し,それを廉価化するために,より最適な設計手法の確立を目指すものであり,①接合部のディテールが異種材料を用いた接合構造に及ぼす影響の解明,②塑性加工を施した曲げ鋼部材の力学的挙動の解明,③材料ばらつきと壁高欄システム全体挙動の把握と接合構造の最適化,④長期供用に伴う構造性能の把握およびガイドラインの策定,のこれらの4つの課題を解決することで達成される. 2021年度は,異種材料を用いた継手に適した接合構造の基礎的な検討として,高力ボルト摩擦接合GFRP継手設計時に用いるすべり係数を設定するために,GFRP部材の表面処理やリラクセーションによるボルト軸力低下を想定した導入ボルト軸力などの構造パラメータがすべり挙動に及ぼす影響を検討し,亜鉛メッキ処理後にリン酸塩処理のよる素地調整を行った連結板と,耐候性向上のためのフッ素樹脂塗装したGFRP部材の組み合わせが最もすべり耐力が高くなることを明らかした.また,高力ボルト摩擦接合の長期供用の際に重要となる長期リラクセーション特性を実験的に検討し,製作ロットの違い,表面処理処理,導入ボルト軸力などの構造パラメータの違いは,軸力低下へ及ぼす影響が小さいこと,約1年間で20%程度ボルト軸力が低下することを明らかした.さらには,曲げ加工を受ける鋼部材の耐荷力を評価するため,有限要素モデルを構築して,既往研究で報告されている類似した実験結果との比較を行い,解析モデルの妥当性の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,FRP壁高欄基部に適用する,高力ボルト摩擦接合の設計すべり係数とそれの長期リラクセーション特性,塑性加工した鋼部材の力学的挙動を明らかにするため,GFRP継手の引張実験とFE解析によるパラメトリック解析の検討を進め,それらの定量的な評価を行った.そのため,実施に遅れはなく,おおむね順調,もしくは当初計画よりもやや進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,FRP部材で構成される構造物の接合部に,高力ボルト摩擦接合を適用することで,より合理的な構造,施工性や耐久性を向上させることを目的としており,そのためには,材料物性値のばらつきが高力ボルト摩擦接合GFRP継手の耐荷力に及ぼす影響や,塑性加工を受けた鋼部材の寸法最適化・疲労耐久性評価を行う必要がある. 2020年度は,高力ボルト摩擦接合GFRP継手の基本性能と,塑性加工を受けた鋼部材の耐荷力を明らかにした.2021年度は,より合理的な曲げ加工鋼部材の寸法,高力ボルト摩擦接合GFRP継手のすべり挙動のメカニズムを解析的に明らかにし,また,材料物性値のばらつきを考慮した安全係数を検討する.そのためには,鋼部材の曲げ加工の影響がより再現できるモデルを構築すること,FRP壁高欄の終局挙動を検討する必要がある.鋼部材の曲げ加工の影響は,曲げ加工解析と,曲げ加工部材の耐荷力解析を別々に実施して,評価しているため,より現実に近い曲げ加工後に,ボルト締付け,曲げ載荷するようなFE解析を実施する.また,FRP壁高欄の終局挙動は,設計上望ましい終局挙動となるような構造詳細を提案するため,FRPの材料物性値のばらつきや,曲げ加工部材の寸法を解析的に検討する.進行が早ければ,実物大実験を行い,解析の妥当性を検討する.
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Research Products
(3 results)