2021 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental study on seismic followability of culvert installed in embankment
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21K14241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 祐輔 京都大学, 工学研究科, 助教 (10847320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルバート / 液状化 / 土-構造物相互作用 / 地震時追随性 / 遠心模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
土中に埋め戻すトンネル構造物であるカルバートは,現場打ちコンクリートで建設され,過去の地震時被害が少ないことから耐震設計を省略されてきた.しかし,2004年新潟県中越地震以降,躯体の損傷が軽微であっても災害直後の交通機能を損なう被災事例が繰り返し報告されている.繰り返される被災の中,設計の高度化が進まない背景には,既往研究がカルバート,盛土それぞれを独立した事象として扱う事例が大半であり,両者の動的相互作用が全体系の地震時変形に及ぼす影響を評価できていないことにある. そこで,本研究では,この課題を解決するために,カルバートと盛土の地震時挙動が乖離する条件,すなわち,地震時追随性という新しい概念からカルバートを含む盛土の地震時被害が生じるメカニズムを三次元的に解明することを試みる.過去の被害事例から,基礎地盤の地質学的リスクが地震時追随性を損なう一因と推測される.基礎地盤の地質条件に応じて,振動の増幅に由来する場合,基礎地盤の支持力に起因する場合などケーススタディを行うことで,地震時追随性を失う条件を明らかにする. 初年度である本年度は,2016年熊本地震で報告されたボックスカルバートの段差や目開きなど供用性を損なう被害を整理した.さらに,整理した被害の内,液状化と関連の深い目開き被害について着目し,地質条件および構造条件を整理し,遠心模型実験により被害の再現を試みた.遠心模型実験の結果,カルバート直下の基礎地盤において,連結部と坑口部直下の過剰間隙水圧比の応答が大きく異なり,連結部直下における液状が著しく進行することがわかった.これは,カルバートの存在により地表の排水条件が異なることが原因と考えられる.さらに,継ぎ目部において噴砂が発生し,継ぎ目部に働く上向きの力と,基礎地盤の変状に伴う自重沈下がバランスされ,カルバートは坑口に向かって倒れるように目開きすることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルバートの過去の地震時被害について整理を行い,着目すべき被害条件に基づいて実施した遠心模型実験により,液状化地盤上におけるカルバートの目開き被害のメカニズムを合理的に説明することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
液状化を伴わないカルバートの段差,目開き被害は,地質境界上あるいは軟弱地盤上に設置されたカルバートでも報告されている.次年度は,基礎地盤を軟弱地盤に変更した条件で,引き続き目開きの発生メカニズムを検証する.また,液状化地盤における目開き被害のメカニズムについても,再現性確認のための実験を引き続き行う.
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Causes of Carryover |
購入予定であった3軸式加速度計について,分解能,精度,応答特性を検証するための試行作業がコロナ禍の影響で遅れ,本年度に購入することが困難となった.本計測器を,次年度に購入することを見込んでいる.
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Research Products
(1 results)