2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14245
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
寺本 俊太郎 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60757425)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 杭の周面摩擦 / 一面せん断試験 / 紫外線励起蛍光樹脂粒子 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【A1】表面粗度Rzを変えたモルタルおよび鉄供試体について,精度の高い作製方法,従来の粗度計に加えてレーザー顕微鏡を用いた計測方法を確立した.また,所定の締固め度Dcの真砂土,所定の非排水せん断強さを持つカオリン供試体の作製方法を確立した. 上記の供試体を用いて,上部を杭材(鉄・モルタル),下部を土(真砂土・カオリン)とした一連の一面せん断要素実験を実施した.その結果,実験パラメータ(杭材粗度Rと土粒径D50の比である相対粗度RR,土の拘束圧σn,杭材の弾性係数E)が,2要素間の境界面における付着力cb,せん断抵抗角Φb,面のせん断剛性率Kbに及ぼす影響を把握し,実験パラメータを用いた定式化に成功した. 【B1】上記の定式化された物性値を用いて,3D弾塑性FEMによる模型実験の再現解析を実施し,実験結果を再現しうる2要素間のジョイント要素の物性値の決定方法を確立した. 【A2】回転載荷模型実験装置を製作し,場所打ち杭(オールケーシング工法)を想定した実験を実施した.その結果,拘束圧σnに対して想定されうるせん断抵抗力を大きく上回ってしまった.それは杭周辺地盤のせん断による拘束圧σnの局所的な増加によるものと予想されたため,せん断過程に伴った地盤内応力分布の変化を確認するべく,【B2】の本実験の3D弾塑性FEM再現結果を実施した.本解析結果および【A1】の可視化実験の結果を踏まえて,回転載荷模型実験装置の改良を行う必要がある. 本年度の成果により,部材境界のせん断特性を把握する実験手法が確立され,また地盤構造物の数値解析で問題となる地盤-構造物の不連続面の表現方法が明確化された.22年度の研究で,杭周面が粗いアースドリル工法等の条件下における解析的再現も達成できれば,実験・載荷試験結果の事前予測や,増し杭された群杭といった複雑な設計・施工条件における評価等の,幅広い活用が期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【A1】の紫外線励起蛍光樹脂粒子を用いた一面せん断要素実験の可視化については,専用の一面せん断試験装置図面を作成し製作発注は完了しているものの,半導体不足のためロードセルを入手できないことから完成に至っていない.その代わりに,22年度の計画であった数値解析【B1】を前倒しして取り組んだ. 【A2】の回転載荷模型実験は,想定する結果が得られなかったが,その原因の究明も兼ねて,22年度の計画であった数値解析【B2】を前倒しして取り組んだ. 以上より,研究計画全体の進捗を評価すると,おおむね順調に進展していると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
【A1】で未実施であった紫外線励起蛍光樹脂粒子を用いた一面せん断要素実験の可視化を,装置が完成次第取り組む.その結果を踏まえて,【B1】の数値解析における条件の見直しも行う.それらの結果と【B2】の結果を踏まえて,【A2】回転載荷模型実験の実験手法を見直し,再実験を実施する. 【C】杭の施工条件が鉛直支持機構に及ぼす影響の定量評価を目的として,ここまでの結果を用いた杭―地盤全体系の数値解析を実施する.その結果より,周面摩擦力度分布,杭先端と杭周面の荷重分担機構について評価し,【D】杭の設計における沈下量算定手法の合理化を目指す.
|
Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 可視化実験装置が完成していないことから,可視化実験に着手できておらず,PIV解析用ソフトを購入するには尚早と判断したため. 【使用計画】 可視化実験装置が完成し,ある程度実験を実施した後,適切なPIV解析用ソフトを購入する(50万円程度).有限要素解析用のワークステーションを購入する(40万円程度).実験に係る消耗品を購入する(10万円程度).
|