2021 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of the climate impact on environmental changes in coastal waters
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21K14251
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
KIM SANGYEOB 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50797826)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動 / 沿岸海域 / 水環境 / AIモデル / Randomforest |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動によって沿岸海域の水環境がどのように変化していくのかを知ることは容易ではない。それは、沿岸海域の水環境は、地球規模の気候変動の影響だけでなく、河川流域の土地利用および人口変化や下水道放流計画の変化などの様々な時空間スケールの影響によって変動するためである。本研究では、過去の様々なデータが活用できるAI技術を用いて、気候変動による沿岸海域における水環境変動が診断できるモデルを構築し、気候変動がもたらす沿岸海域の環境変化への影響の評価を目指している。特に、対象とする沿岸海域は、九州西部に位置する半閉鎖湾である有明海と山陰地方にある中海・宍道湖である。そのため今年度は、モデル構築に用いるデータの収集と整理を主に行った。収集したのは、有明海と中海・宍道湖の水質データ、周辺の気象データ、河川の流入量などであった。その中、当該年度では、対象流域の一部である宍道湖において、収集したデータを基にAIモデル(Random forest)を構築し、長期間の連続観測データからみた宍道湖の水質の変化特性の解析を行った。その結果、宍道湖の底層水温は,主に気温の影響を大きく受けており、底層の塩分は,7日から4日前までの間の斐伊川の流量に大きく影響を受けていることなどが確認された.したがって、本研究でAI技術から構築された水質評価モデルは、沿岸環境である有明海の水質(金ら、2019)だけてなく、汽水域である宍道湖の水質評価においても適用可能になった(金ら、2022)。また、今後使用されるデータの収取作業が完了したため、来年度からの気候変動がもたらす沿岸海域の環境変化への影響評価モデルへの改良に使用可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、モデル構築のためのデータ収集が主な計画であり、ほとんどのデータが揃えているため、評価を「おおむね順調に進展している。」にした。さらに、計画に無かった長期間で計測された宍道湖の周辺河川の栄養塩データを島根県から提供してもらうことになり、水質モデルの精度向上への活用が期待される。また、宍道湖の河川流量データに関して、大津のデータの精度に問題があり、灘分のデータを使用することになった。来年度も計画の通り研究進捗が可能になると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、構築した沿岸水質予測AIモデルに、当該年度で収集されたデータを利用して、有明海と中海・宍道湖の水質(表層の塩分・水温・植物プランクトン量など)の再現性を向上させる。なお、様々な時空間スケールの環境要因の中で、特徴量選択を行い気候変動が沿岸海域に及ぼす影響を明らかにする。なお、機械学習を用いたモデルだけでなく、時系列の予測に優れたディープラーニングを基にした水質モデルの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入を計画していた、ワークステーションの部品などがパンデミックの影響で在庫がなく、年度内に購入が不可能であった。なお、現地調査および学会参加などの旅費がcovid-19の影響で実行できず、また計画した研究結果の論文化も遅れていたため、旅費や経費などの残が生じた。その分は、翌年度分に合わせて物品の購入や調査旅費などに使用を希望する。
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Research Products
(3 results)