2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on scale effect of impulsive breaking wave force for numerical simulation
Project/Area Number |
21K14256
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
鶴田 修己 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (30747861)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粒子法 / 混合粒径 / 異相界面 / 解像度可変 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,非定常流をより高精度に解くため,前年度に開発した斥力型の安定化スキームに対して,信頼性の高い既存の粒子再配列スキームを組み合わせ,計算安定性及び精度の向上を図った.開発スキームは,重複粒子のみを対象に粒子ペア毎で粒子間距離を個別に調整する手法であるが,ここではスキーム間での機能の重複を回避すべく,近傍粒子配列の偏りを包括的に調整するParticle Shifting techniqueを追加スキームとして採用し,各スキームの機能が補完し合うように取り計らった.ベンチマークテストでは,各スキーム単体での使用時と比較してより高精度な計算結果が得られ,スキーム間の高い適合性・相乗効果を確認した. 次に,衝撃波力の再現に求められる高解像度計算を実現すべく,流れ場に応じて高解像度粒子の追随・維持が可能な混合粒径モデルを新たに開発した.従来,粒子法では計算安定性のために計算粒子径を均一にすることが一般的であったが,近年においては,粒径ごとに離散化空間を分離・重複させて重合格子法に似た形で解像度可変計算を実現する手法が幾つか開発されている.しかし,離散化空間の転移・変形は容易でなく,必要解像度が局所的に時々刻々と変化する衝撃圧や砕波などに対しては,計算効率の維持が難しい.そこで本研究では,粒子間の微分演算モデルに対して粒子体積を考慮しつつ改良を施し,同一離散化空間で流れに応じて高解像度粒子を局所的かつ動的に維持させることが可能な完全Lagrange型の混合粒径モデルを開発した.さらに,砕波下の衝撃波力に対して本モデルを適用し,複雑流に対しても安定的に計算効率が維持させられることを確認した.また,二相流での異相界面にも本モデルを適用し,変形する異相界面に追随する形で任意の粒径(解像度)を維持しつつ安定的に計算ができることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
粒子法型数値波動水槽の改良において,計算精度の向上に成功するとともに,これまでよりも柔軟な解像度可変モデルを構築して,単相流だけでなく混相流に対しても実用的な計算コストの範囲内で計算精度を大きく向上させることに成功した.これにより,当初予定していた自由水表面モデルのみに頼る疑似的な気相モデリングだけではなく,より直接的な物理モデルを適用し得る気液混相流ベースの衝撃波力モデルの実現性も高まった. 一方,上記モデルの開発に多くの時間を割いたため,当初予定していた単相流の自由水表面モデルから成る気泡の再現モデルの開発や水理模型実験結果の検討には,十分な時間を確保出来なかった.
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションのベンチマークとして,これまで実施した水理模型実験のデータ解析を引き続き進める.粒子法型数値波動水槽では,開発した混合粒径モデルを気液混相流へと展開しつつ,水理模型実験との比較からモデルの再現性を検討したい.さらに,それと並行して単相計算に限定した自由表面モデルを介する気泡モデルの開発についても,モデル開発の可能性を模索する予定である.また,これまで得られた成果について取り纏め,発表・普及を進めたいと考える.
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Causes of Carryover |
研究成果を取りまとめるにあたり,コロナの影響から論文の共著者との対面による打ち合わせを適切な時期に行う事が出来なかった.新たに得られた成果も含めて共著者との打ち合わせを行うべく,次年度使用額として旅費を繰り越したい.
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