2022 Fiscal Year Research-status Report
災害リスクを踏まえたコンパクトシティ計画の策定に向けた検討
Project/Area Number |
21K14262
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森本 瑛士 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (60899326)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 立地適正化計画 / 都市機能誘導区域 / 居住誘導区域 / 浸水想定 / 実被害 / 人口密度 / 都市機能補完 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は居住誘導区域の縮小と浸水リスク低減に向けた参考情報を得ることを目的に,浸水深や避難距離を用いた浸水リスクと実被害の関係,および浸水リスクを含む居住誘導区域の除外検討を行った.なお分析対象地は実際に令和元年東日本台風において居住誘導区域内に浸水被害が出た信濃川水系流域における都市とした.具体的にはまず基礎的分析として災害別に機能する避難所を整理し,その避難所が居住誘導区域内の浸水想定人口をどの程度カバーしているのかを把握した.また居住誘導区域における浸水想定深や避難所までの避難距離と実被害の関係性を把握した.続いて,浸水想定深及び避難距離が遠い地域を浸水リスクの高い地域として除外し,その地域に住む人口を居住誘導区域内に誘導した際の人口密度について分析することで,浸水リスクをどの程度除けば人口密度が維持できるかの検討をおこなった.以上の結果,浸水リスクの高い地域を除外することで,被災地域の大半を除外できることが示唆された.加えて,浸水深や避難距離を用いることで,被災地域を除外した上で人口密度を維持・向上できる可能性が明らかとなり,これらを除外方針の一指標とするメリットも示せた.一方で,災害リスクを除外しただけでは現状の人口密度が維持できない自治体が確認された. また,災害時における都市機能の補完を見据え,平常時における拠点への公共交通によるアクセス性に関する研究や都市機能分担可能性に関する研究をおこなった.加えて,災害リスク以外の観点から誘導区域の設定方法に関する研究等をおこなった.以上の研究から都市機能補完の際には自動車で移動できることが重要ある可能性や将来的には災害がなくても都市機能補完が重要である可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,避難に時間がかかる地域,浸水想定深が深い地域などの災害リスクが高い地域を把握し,その地域からリスクの低い誘導区域への誘導によるメリットを提示するところまで進むことができた. 加えて,次年度に災害時における都市機能の補完可能性を分析することを見据え,災害のない平常時における都市機能補完可能性などに関する基礎的分析を実施することができた. 一方で近年,防災指針の作成も含めた立地適正化計画の改定が進んでいるが,災害リスクがどのように変化したのか分析していくことはできておらず今後の課題である.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り,浸水被害後における他拠点による都市機能の補完可能性の把握をおこなう予定である.その際には,災害だけでなく人口減少による都市の変化を踏まえるため,非災害時(平常時)における変化に関する基礎的分析も合わせて実施する予定である.
|
Research Products
(7 results)