2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the optimal planning of investment in construction industry and infrastructures under disaster risk
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21K14265
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬木 俊輔 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50762382)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 防災 / 建設産業 / 人的資本 / マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
建設産業の資本(建設資本)は,災害からの復興過程において重要な役割を果たす.建設資本は,災害により破壊された社会資本や民間の住宅・建築物を再建することにより,短期的な復旧のみならず,中長期的な復興に貢献する.これらの建設資本は,その水準を短期的に増やす(蓄積する)ことが困難である.とりわけ,建設産業で働く労働者の人的資本の蓄積のためには,現場における経験や,熟練労働者から若手労働者への技能の継承など,中長期的な教育(投資)が必要になるため,たとえ災害の後に建設産業に対する大きい需要が発生したとしても,その水準が短期的に増加することはない.よって,復興事業が円滑に実施されるためには,建設資本に対して,平時から適切かつ安定した水準の投資が行われる必要がある.しかし,このような視点を有する学術的研究は乏しい. 以上のような学術的課題を踏まえ,2021年度は,建設産業とその資本(物的資本と人的資本の双方)の役割を明示的に考慮した動学的マクロ経済モデルの定式化と分析に取り組み,国土の災害リスクと,建設資本の最適な水準や投資との関係について分析した.定式化されたモデルは,災害リスクを考慮した最適成長モデルに,社会資本や民間の建築物の供給を担う,建設産業とその資本を組み込んだものである.分析の結果,災害のリスクが大きい国ほど,最適な建設資本の水準は高くなる傾向があること,および,その水準は建設資本の短期的蓄積が困難であるほど高くなる傾向があるなどの知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の研究・教育活動に時間を割かなければならず,本研究課題に十分な時間を投入することができなかった.そのため,当初の計画では,建設資本の最適な水準に関する規範的な分析に加え,建設資本に対する投資を最適な水準に誘導するための,長期的な社会資本投資計画の有効性と特性を明らかにする予定であったが,この追加的な分析についてはできていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に投入する時間を増やし,当初計画通りに研究を遂行できるようにする.2022年度においては,2021年度に実施できなかった,建設資本に対する投資を最適な水準に誘導するための,長期的な社会資本投資計画の有効性と特性に関する分析を完了し,基本的なモデルを用いた分析の内容を論文として投稿する.さらに,2021年度に定式化したモデルを多地域に拡張し,建設資本の地理的な配置を,平時と災害時においてどのように転換すべきかを分析する.
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