2021 Fiscal Year Research-status Report
経営学に基づく集落コミュニティの共助活動に対する実践力の評価
Project/Area Number |
21K14267
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
長曽我部 まどか 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50757268)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 心理的安全性 / 集落組織 / 地域運営組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は次の研究目的を達成するための調査・分析を行った.①企業組織と集落組織の類似点と相違点を整理し,モチベーションやリーダーシップに関して,どんな経営理論や指標を集落組織に援用できるのかを明らかにすること,②集落活動に対するモチベーション等を測る指標を開発すること.具体的には次の通りである. 【背景と目的】中山間地域では地域住民による送迎や買い物代行といった新たな共助活動を行う必要性が高まっている.しかし,全ての地域においてこれらの活動を実行できるとは考えにくく,地域の雰囲気や組織体制といった地域の特性が共助活動の実行可能性に影響すると考えられる.そこでこれらの地域の特性を抽出し,共助活動の関係を明らかにすることを試みる. 【手法】地域の雰囲気を測る指標としてチームの心理的安全性の指標を援用し,因子分析と一般化線形モデルを用いて地域の雰囲気と共助活動の実行可能性との関係を明らかにした.心理的安全性とは組織行動に関する概念である.地域版の心理的安全性の指標を作成し,「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」の4因子を抽出した. 【結果】鳥取県東伯郡北栄町の地域福祉活動に携わる住民84名に対してアンケート調査を行った結果,新しいアイデアを受け入れてもらえる,困難な課題に向き合うことができるという「挑戦」の雰囲気が,共助活動の体制・組織づくりや共助交通の実行可能性に影響を与えることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経営学で用いられている指標を用いて集落組織を評価する新たな指標を提案した.この指標を用いて実際にアンケート調査を実施し,集落の特性を表すと考えられる因子を抽出した.さらに,これらの因子を用いて集落組織と共助活動の実行可能性の関係を明らかにできた.これらの調査結果を学会において発表した.以上より「おおむね順調に進んでいる」と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の2つを明らかにすることを試みる. ①個人の特性と新しい共助活動の実行可能性の関係を明らかにすること 集落組織の「挑戦」の因子が共助活動に寄与する可能性を踏まえ,どのような特性(地域での活動履歴や考え方)を持つ人が挑戦的であるかを明らかにする.また組織内の相互作用に着目した分析も試みる. ②発展的な活動を実行できている組織と,基礎的な活動に留まっている集落の違いを明らかにすること ①で個人特性を明らかにしたうえで,構成員の何割程度が挑戦的であると共助活動を実行しやすいかといったことを明らかにする.
|
Causes of Carryover |
英文校正費として確保していたが,予定していた論文に投稿できなかったため残額が発生した.次年度使用額はその他の英文校正費として使用予定である.
|