2021 Fiscal Year Research-status Report
正浸透法における膜閉塞成分の特定と促進酸化前処理による膜閉塞抑制効果の解明
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21K14275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 洋平 京都大学, 工学研究科, 助教 (30869730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正浸透法 / 三酢酸セルロース活性層 / 下水二次処理水 / 膜ファウリング / 有機物画分 |
Outline of Annual Research Achievements |
正浸透(FO)法による下水二次処理水の処理を検討するとともに、膜ファウリングの発生機構を調査した。三酢酸セルロース活性層のFO膜(平膜)を使用し、ラボスケールの膜評価装置を用いて一連の実験を行った。供給液(FS)と駆動液(DS)の流量は45 mL/minとし、純水あるいは下水二次処理水をFSに、0.6 M NaCl溶液をDSに用いた。FSとDSの水温は25℃に制御し、DSの重量変化から膜透過水fluxを算出した。純水および下水二次処理水をFSとした条件での初期の膜透過水fluxは、それぞれ8.4 L/m2/hおよび7.9 L/m2/hであり、同等の値を得た。下水二次処理水をFSとして用いた場合、膜ファウリングにより膜透過水fluxが徐々に低下し、処理時間24時間経過後には4.7 L/m2/hとなった。液体クロマトグラフィー有機炭素検出器を用いて処理前の下水二次処理水中の有機物画分を分析し、数千Daの有機物画分が検出され、三次元蛍光分析によりフミン系の物質と推定された。処理時間24時間経過後に回収したFO膜を純水に浸漬させ、超音波処理により膜表面の堆積物を脱着させ、有機物画分を分析した。その結果、処理前の下水二次処理水と同様に数千Daの有機物画分が処理後のFSからも検出されたことから、フミン質画分が三酢酸セルロース活性層のFO膜のファウリングに寄与していると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正浸透法による下水二次処理水の処理を行い、膜ファウリングにともなう膜透過水fluxの挙動ならびに膜ファウリングに寄与する有機物特性を評価した。膜ファウリングに寄与する有機物画分が推定されたものの、無機物の寄与まで考慮できていないため、研究はやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
有機物と無機物の相互作用を考慮した膜ファウリングの発生機構の解明を試みる。下水や下水二次処理水に含まれる有機物の特性解析を行うととともに、カルシウムや鉄などの無機系ファウラントと有機物の相互作用を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2021年度は消耗品の使用量が減ったため次年度使用額が生じた。2022年度に追加で実験を行う予定であり、その実験に必要な消耗品の購入費用として使用する。
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