2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of Birdcalls Included in Environmental Sounds, and Population Counting
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21K14280
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
森下 功啓 熊本高等専門学校, 生産システム工学系ACグループ, 助教 (70735266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 野鳥 / 鳴き声 / 自動識別 / ヤンバルクイナ / 個体数把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究年度1年目となる2021年度は、(1)ICレコーダーによる観測地点の増加、(2)季節観測対象であるモズとウグイスの学習と評価、(3)GPS受信機を用いた複数のICレコーダー間の時刻同期、(4)ステレオ録音による音の到来方向推定、(5)ヒヨドリやアカヒゲなどの識別対象種の追加、(6)沖縄の山原地域で取得した録音データの評価、(7)環境音として虫数種類の鳴き声と救急車・踏切の音の学習、を行った。研究費をいただけたことで、処理速度の速い計算機と複数のICレコーダーを調達できた。これにより、これまでよりも多様な地点での録音ができ、より多くの生物種や人工音を識別するAIを作成できた。 加えて、ヤンバルクイナについては識別精度AUCが0.83まで向上した。沖縄で過去に収集した3地点の音源ではほぼ間違えないようになったため、沖縄での観測地点を2か所追加した。ただし、九州本土で録音された音源について、コジュケイやカエル+虫で誤識別することがあるので対応が必要である。また、気象庁が季節観測の対象としてきたモズの追加とウグイスの精度向上にも取り組んだ。モズの場合はまだ誤識別を無視できないが、研究目的の一つである多種の野鳥の識別に近づいた。 野鳥の個体数カウントではマイクロホンアレイが利用できると考えていたが、この方式は屋外で長期間稼働させるには課題が多い。そこで、まずは一般的なICレコーダーを用いたステレオ録音を用いて到来方向を推定できないか検討を行った。その結果、限定的ではあるが、左右のマイクを5 m離すことで到来時間差を0.1ミリ秒程度の精度で検出できることを確認した。今後は実際に録音されたヤンバルクイナの鳴き声を用いた検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICレコーダーを多数調達できたため、音源の収集は概ね順調に進んでいる。また、モズやウグイスなどの季節観測対象種の野鳥の鳴き声をバードリサーチより頂くことができた。そのため識別対象種は徐々に増やすことができており、野鳥は現在11種類である。これは予定より速いペースである。ただし、現行の手法では質の良い音源を鳴き方1種類につき30分間ほど必要であり、これが識別対象種数の増加を妨げている。加えて、識別対象種を1種類増やすごとに学習時間が数%増加している。今後は、学習時間の短縮方法についても検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、まず識別対象種となる野鳥を増加させる。特に、気象庁が野鳥の季節観測を民間団体と協力して進めていく体制に改めたため、観測対象となっている野鳥への対応を進めたい。また、渡りの調査のために録音データが膨大に溜まっているヤイロチョウにも対応する。ヤイロチョウについては、少なくとも600時間に及ぶ観測データに対する識別性能評価を行う。さらに、ヤンバルクイナやモズ・ウグイスの識別精度を向上させるために、コジュケイ、ある種の虫、ニワトリ、ホオジロ、などの鳴き声も収集と学習を進める。 次に、野鳥の個体数把握手法の検討を行う。ICレコーダーの左右のマイクを5 mほど離して録音する実験を2021年度から沖縄で実施しており、その音源を解析することで個体数の把握が可能かどうか検討する。結果が良ければ、設置個所をさらに増やすとともに、マイクロフォンアレイ方式との比較を進めたい。 加えて、異常検知手法を利用して、学習モデルが学習したことのないパターン画像の識別について検討する。これにより、未知の音に対する誤識別率を低減させ、実用的な環境評価を目指す。 最後に、機械学習の学習時間の短縮方法について検討を行う。特に昨今は半導体不足と円安により高速な計算機の価格が高い。そのため、アルゴリズムの改良を行うことで学習時間を短縮させ、識別精度の向上につなげたいと考えている。
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Remarks |
研究で開発したソフトウェアを公開しています。
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