2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of the anaerobic bioleaching system to promote the elution of radioactive cesium in the radioactively contaminated solid wastes.
Project/Area Number |
21K14282
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
呉 江 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 特別研究員 (30896288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 汚染牧草 / 嫌気性処理 / 前処理 / 固形物除去性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島原発事故由来の汚染牧草の嫌気性処理性能を向上させるために、適切な前処理技術を確立したことである。植物性バイオマスの嫌気性処理は、一般的に前処理によって生分解性の低い細胞壁を破砕する必要があり、バイオマスの糖化という。糖化前処理には物理的および化学的な方法がよく使われている。 本年度は、物理法に属する粉砕と超音波破砕、及び化学法に代表的な熱アルカリ法を用い、効率的な汚染牧草の糖化方法を確立し、バイオガスの前処理実験及び嫌気性汚泥(嫌気性菌叢)の馴致と適性化を行った。 嫌気性種汚泥を用い、三基のCSTRリアクターに接種した(有効容積は1L、それぞれR1,R2,R3とする)。R1に前処理せずに粉砕された牧草を投入し、ブランクとした。R2の基質はアルカリ前処理した粉砕牧草である。物理処理方法とし、R3に超音波処理された牧草を投入した。水力的滞留時間(HRT)を30日に設定した。中温の温度(35℃)で、いずれのCSTRリアクターは、有機(固形物)負荷が2.15g-TS/L/dに設定し、嫌気性汚泥の連続培養を行った。 連続嫌気性処理を100日間に行われた結果、三基のCSTRリアクターにメタン生成速度の降順はR2>R3>R1である。粉砕牧草に比べると、アルカリ前処理と超音波前処理は牧草のメタン生成の促進作用を有することを明らかにした。アルカリ前処理はメタン生成速度の向上に一番促進作用があることを確認した。R1に粉砕された牧草を投入し、TSとVSの除去率はそれぞれ18.3%と27.9%である。VSの除去に一番促進作用が発揮するのはアルカリ前処理であり、そのVS除去率は平均38.8%に上昇したことが明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度に研究内容の計画は次である。(1).連続培養の方法を用いて種微生物叢を汚染牧草が利用できる方向に馴致する;(2).化学状態分析を用いて芳香族高分子(リグニン等)と長鎖セルロースの結晶に結合したセシウムが細胞壁中の分布特性を把握する;(3).処理プロセスに微生物叢の代謝産物の物質組成を分析し、各前処理方法によって放射性セシウムの溶出挙動を明らかにする;(4).前処理された汚染牧草を基質として当嫌気性プロセスに投入し、5ヶ月以上に連続実験を行う。上に述べた実験結果を総合し、汚染牧草の嫌気性処理に最適な前処理手法を選定する。 本年度の研究計画にある内容はほぼ完成しているため、総合的には概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
提案された最適な前処理方法を踏まえ、R4年度には、主に汚染牧草に含有する放射性金属の嫌気性バイオリーチング性能の評価をを行う。具体的には、(1).嫌気性処理プロセスに放射性セシウムのバイオリーチング効能の把握;(2).分子生物学等技術を用いて金属のに役立つ微生物種の同定;(3). 汚染牧草の嫌気性(前)処理コストとメタン発酵由来のバイオガスの回収によるエネルギー収支・経済性に対する評価を行う。システムの処理安定性、エネルギー収率と汚染牧草にセシウムの溶出性能を総合的に評価し、当嫌気性バイオリーチングプロセスの制御条件の最適化に、工夫をする予定である。
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Causes of Carryover |
R3の研究費使途の年次計画には、もともと一部の微生物シークエンス解読費用が含まれたが、嫌気性汚泥の培養状態から判断し、微生物シークエンスに関する分析依頼はすべてR4年度に実施する(現時点に一部実施済み)。全体的にはR3年度の研究進捗に影響はない。
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Research Products
(6 results)