2021 Fiscal Year Research-status Report
可変型同調回転慣性質量トランスデューサーを用いたリアルタイムハイブリッド実験
Project/Area Number |
21K14285
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅井 健彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90775793)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同調回転慣性質量トランスデューサー / イナーター / 制振 / エネルギーハーベスティング / モデル予測制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが提案している構造物の振動エネルギーを電気エネルギーへと効率的に変換することで振動制御を実現する新たな制振装置である同調回転慣性質量トランスデューサーの地震動を受ける建築構造物における有効性を検証するため、数値解析シミュレーションと実験の両方から研究を行っている。同調回転慣性質量トランスデューサーは回転慣性質量を同調バネによって共振させることで高いエネルギー吸収効率を実現させているため、予め想定した周波数に対しては非常に高い性能を発揮する一方で、想定外の周波数域をもつ外乱に対してはその性能が低下する欠点が指摘されていた。 そこで、当該年度はこれまでに研究、開発を行ってきた同調回転慣性質量トランスデューサーのさらなる性能の向上を目指した、可変型同調回転慣性質量トランスデューサーの開発とその制御アルゴリズムの開発に取り組んだ。可変型同調回転慣性質量機構を実現するために、回転半径を可変に出来る装置を試作し、実験によりその有効性を実証した。また、この回転慣性質量値を実時間で適切に制御する方法として、非線形モデル予測制御の適用に取り組んでいる。非線形モデル予測制御は非線形な最適化問題を実時間で繰り返し解く必要があるため、これまで実用化が困難な制御手法であったが、近年の計算機の発展とより高速な計算アルゴリズムの開発により、十分に実用化が可能な手法となっている。ここでは、一自由度系のモデルに可変型同調回転慣性トランスデューサーを設置した場合の数値解析シミュレーションを実施することで計算速度を検証し、十分に実機にも適用可能であることを確認した。今後はこのモデル予測制御を用いた実験も実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は主に数値解析シミュレーションのためのモデルの構築とアルゴリズムの実装を行い、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降はリアルタイムハイブリッドシミュレーションに実験の実施に向けて準備を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
数値解析シミュレーションの実施に想定以上の時間がかかった。また、実験の実施に必要な部品の在庫不足により発注を行うことが出来なかった。次年度には在庫に目処がついているため、研究計画から大きく遅れることなく、実験を実施出来ると考えられる。
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