2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14289
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 竜也 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (90815846)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 曲げ破壊 / 耐震壁 / 降伏変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
建物の性能規定型の耐震設計を高度に実現するには,建物損傷と関連の深い建物変形を適切に推定することが欠かせず,それには各構成部材の高精度な降伏変形評価が必要である。鉄筋コンクリート造柱部材については,静的載荷実験において部材の詳細な変形・ひずみ分布を計測した研究に基づき同高精度評価が可能になりつつあるが,柱部材と同じく変形性能が期待される連層耐震壁については,その脚部への変形集中メカニズムについて統一的理解は得られておらず,精度良い評価手法は確立されていない。そのため本研究では,同メカニズムが接合部全体の回転変形であるとの仮定のもと,二体の縮小試験体の静的載荷実験において接合部内および近傍のひずみ・変形分布を詳細に計測・分析することで,(ⅰ)連層耐震壁の変形が脚部に集中するメカニズムを解明し,(ⅱ)連層耐震壁の降伏変形を説明可能なマクロモデルを構築する。 本年度は,鉄筋コンクリート造連層耐震壁の静的載荷実験について,実験の詳細な計画を立てて試験体を設計した。試験体2体の諸元については,耐震壁において顕著に生じる斜めひび割れが変形に与える影響を把握するべく鉄筋比を変化させ,共に曲げ破壊するように寸法および配筋を定めた。連層耐震壁の詳細な変形性状,特に脚部に変形が集中するメカニズムを明らかにするべく,試験体全体の変形性状は赤外線カメラにより詳細に計測し,接合部内の変形性状は鉄筋に貼付したひずみゲージおよび埋め込みゲージにより計測する。載荷は片持ち形式により行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画を行うための既往研究レビューを詳細に行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,計画したとおりの試験体を製作して静的載荷実験を実施する。実験の実施においては,構造実験室の加力装置を加力計画に合わせて組み換え,そこに製作した試験体を設置する。さらに変位計,赤外線計測の設置,ひび割れ計測グリッドの描画,計測機器の配線等を行い,載荷実験を実施する。載荷は正負繰り返して行い,徐々に変形を増大させながら各計測を実施する。 実験結果の基礎分析においては,水平力-水平変形関係,各変形成分の分布,断面内のひずみ分布,モーメントー曲率関係などを算定し,把握するとともに設計との比較を行う。さらに,実験で得られた脚部近傍における詳細な変形・ひずみ分布に基づき,その変形集中を説明可能な力学モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
静的載荷実験を行う試験体製作を次年度に変更したことが理由であり,次年度にはその製作に加えて実験実施および試験体廃棄に予算を使用する予定である。
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