2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on the mechanism of adsorption of fine particles by a charged window frame to prevent pollen from flowing into the room when ventilated
Project/Area Number |
21K14290
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 洋介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00757338)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 花粉 / 帯電 / 吸着 / 建築材料 / 開口部 / 網戸 / 金網 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに複数の網戸用金網に対してそれぞれ正負が異なる電圧を印加することによって、単数の網戸用金網や複数の網戸用金網に対してそれぞれ正負が同じ電圧を印加した場合よりも花粉をより吸着できることを明らかにした。 2023年度は網戸用金網に印加する電圧の正負切り替えが網戸用金網の花粉吸着性能に及ぼす影響について検討を行った。これにより、当初計画における「開口周辺部の金属部材に印加する電圧の正負切り替えによる開口部からの花粉流入の防止」が可能であることを示した。 実験の範囲内において以下のことが分かった。①一部の条件を除き、金網に印加する電圧の正負切り替えにより、金網の吸着性能を向上できることが明らかになった。②電圧の正負切り替えのサイクルにつき、正、接地、負、接地で1サイクルとしたとき、1分間に50サイクル以上の間隔で正負を切り替えた場合、重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合は電圧によらず40%以上減少し、線径0.3mm、電圧絶対値1.0kVまたは2.0kV、1分間に50サイクルで50%減少した。③電圧の切り替えによる重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合の減少は線径が大きい方が大きくなる。電圧の切り替えで堆積減少率が最も向上するのは、線径0.5mm、電圧絶対値1.0kV、1分間に150サイクルの場合で、電圧の切り替えを行わない場合に比べて重力沈降で落下する花粉が金網を通過する割合の減少は27ポイントとなる。④網戸用金網に印加する電圧の正負切り替えにより、開口から流入する花粉を最大67%減じることができると明らかにした。 以上より、帯電によって開口部からの花粉流入を減じるサッシを作製するための技術の1つが見出され、これを採用すれば、花粉症罹患者の症状軽減に寄与できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
推定されるメカニズムに基づいて、電圧の正負切り替えによる花粉吸着性能向上について効果を確認できた。およそ当初の目標を達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発できた技術を組み合わせて、さらなる花粉吸着性能の向上を図る。組み合わせ方については特許出願を予定しているため、詳述しない。 割り当てられた予算を用いて実験を効率化できる機器を購入し、より多くの条件で花粉吸着性能向上に関する実証実験を行う予定。 また、これまでの研究結果について、論文を投稿予定。
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Causes of Carryover |
重要な実験機器が故障し、修理費用・交換費用が発生した。そのため、想定していた実験機器を購入する費用が不足したので、来期予算と合算して購入することとした。
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