2022 Fiscal Year Research-status Report
乾式非構造壁等の被害実態を踏まえた鉄骨支持構造部の構造性能に関する基礎研究
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21K14297
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
沖 佑典 国立研究開発法人建築研究所, 建築生産研究グループ, 主任研究員 (10805328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非構造部材 / 間仕切り壁 / 応力分布 / 静的実験 / 振動台実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、主に間仕切壁の取り付く支持構造部に着目し、間仕切壁等の支持構造部における実態について調査するとともに、実験等を通して、支持構造部の介在の有無が間仕切壁等の構造性能に及ぼす影響を考察することを目的とするものである。 本年度は、主に間仕切壁の取り付く支持構造部について、実態や一般的に知られている標準仕様書等を踏まえ、間仕切壁上端の境界条件が構造躯体に支持される場合より脆弱になると考えられる、吊り天井の鋼製下地材に支持される場合を考慮した実験を計画し、静的及び動的実験を実施した。静的実験は壁の中央高さに水平方向の線荷重を与える方法により行った。また、動的実験はスイープ加振、ホワイトノイズ加振等により行った。計測については、壁に設置した加速度計より面外加速度、壁の構成要素であるスタッドに設置したひずみゲージの値よりスタッドの曲げモーメントについて、壁の縦方向(高さ方向)に4等分する位置で計測した。また、壁の上下端に変位計を設置した。 実験により、上端が天井に支持される場合の間仕切壁の高さ方向の面外加速度、曲げモーメントに関する基礎データを収集することができた。これらのデータは、間仕切壁が共振する場合の応答性状の基礎情報となることが期待される。また、壁上下の変位計の計測値から壁上下の回転状況に関するデータも得られた。 以上の実験データ等から、今後は壁の応答性状に関する分析を行うとともに、既往の間仕切壁の知見(構造躯体に剛に接合される場合等)との比較検討等について、今後実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、支持構造部が脆弱な場合を対象とする実験を計画し、主要な実験パラメータについて実施することを当初の目標としていた。文献調査により、壁の支持方法として吊り天井に支持される場合の取り合い部の部分詳細が、日本建築学会及び国土交通省の標準仕様書等に記載されているため、本研究課題においてはこの取り合い部に準ずる方法が、支持構造部による壁の例の一つであるとして、検討対象とした。 壁の耐力や応答性状を把握するため、既往の間仕切壁に関する研究等を参考に静的実験及び動的実験を計画した。静的実験は、壁の中央高さに水平方向の線荷重を与える方法とした。また、動的実験はスイープ加振、ホワイトノイズ加振等とした。計測については、壁に設置した加速度計より面外加速度、壁の構成要素であるスタッドに設置したひずみゲージの値よりスタッドの曲げモーメントについて、壁の縦方向(高さ方向)を4等分する位置及び上下端付近の位置にセンサーを配置した。また、壁の上下端に変位計を設置した。 実験により、上端が天井に支持される場合の間仕切壁の高さ方向の面外加速度、スタッドの曲げモーメントに関する基礎データを収集した。また、壁上下の変位計の計測値から壁上下の回転状況に関するデータも得られた。結果として、当初予定していた支持構造部を含む壁の応答性状に関する実験を計画通り進めることができたため、今年度の本研究はおおむね順調に進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに実施した実験により、上端の境界条件が脆弱な場合の間仕切壁の応答性状に関する実験データが得られた。今後はこの実験データを基に、今後は壁の応答性状に関する分析を行うとともに、既往の間仕切壁の知見(構造躯体に剛に接合される場合等)との差異等について、今後考察を行い、成果を取りまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は実験を概ね計画通り実施できたが、壁に関する追加の要素実験の実施に係る必要物品の調達、試験体製作及び実験実施に係る人件費のため、翌年度の請求分と合わせて使用する計画としている。また、翌年度は、成果の公表に向けて論文等への投稿を行うため、その投稿費を計画している。
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