2022 Fiscal Year Research-status Report
都市部での利用を想定した爆燃を用いた小規模破砕技術に関する研究
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21K14298
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 良尭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (10850521)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市発破 / 発破解体 / ニトロメタン / 爆燃 / 動的破砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
容器に入れたニトロメタンをSUS,PMMA,モルタル中空円筒管の3種類の拘束条件下に内に装填し,電気雷管にて起爆した。円筒管の直下には圧力ゲージとPMMA板を設置し,雷管起爆後に発生する圧力を電気的に計測するとともに,PMMAに発生する応力波の伝播挙動や管の膨張の様子を高速度カメラで可視化計測を行い,拘束条件がニトロメタンの爆発威力におよぼす影響について検討を行った。SUS管の場合は,雷管起爆後に圧力ゲージに急激な圧力上昇が記録された。一方で,PMMA管の場合には,急激な圧力上昇は認められず,SUS管の場合と比較してゆっくりと長く続く圧力履歴が得られた。高速度カメラによる管の膨張の様子の比較から,SUS管の場合は変形が認められず,実験後も管は元の形状を保っていた。一方,PMMA管の場合は,圧力上昇とともに管が大きく変形し,破壊に至っていた。ニトロメタンにエネルギーを印加する過程において,その周辺環境が形状を保つことで,エネルギーの逃げ場が減少し,ニトロメタンの反応が促進されやすいことが示唆された。 同様にモルタル管における実験では,PMMAと同様に比較的ゆっくりと長く続く圧力履歴が得られたが,その圧力はPMMAと比べ低く,持続時間も若干短かい傾向にあった。また,実験毎のばらつきが大きかった。一方,管全体の膨張を比較すると,PMMAよりも明らかにゆっくりであった。モルタルは一般にPMMAよりも変形はしづらいが破壊に至りやすいため,ニトロメタン装填箇所周辺に破壊が生じることで発生した圧力や未反応のニトロメタンがさまざまな方向へと拡散し,ニトロメタンの反応が促進されず,圧力も小さくなったのだと推察される。また,モルタルは試験体ごとに強度や微細な亀裂や空隙の入り方などが異なるため,ニトロメタン周辺に生ずる破壊形態も試験ごとに異なるため,発生圧にもばらつきが生じやすいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学的と電気的計測を組み合わせることで拘束条件によるニトロメタンの爆発威力の違いを明らかにできているため。
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Strategy for Future Research Activity |
コンクリートに代表されるような,複雑な破壊が発生する岩石材料中でのニトロメタンの反応形態について,これまでの実験結果をもとに数値シミュレーションのための状態方程式や反応モデルに検討を行う。また,より実施工条件に近い環境下(試験体)で実験を行い,画像相関法等を用いた歪み計測等を行い破壊現象について定量評価を行う。本試験結果についてて、数値シミュレーションによる再現を試みる。これにより実験では観測困難な内部現象について詳細な評価を行うとともに,数値シミュレーションによって状況に応じた適切な破砕ディバイスの設計を可能とする。
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Causes of Carryover |
より実施工条件に近い環境下(試験体)でニトロメタンの起爆実験を行い,画像相関法等を用いた歪み計測を行う。得られたデータを元にコンクリート内でニトロメタンを起爆させた後のコンクリートの破壊挙動について、数値シミュレーションによる再現を試み,状況に応じた適切な破砕ディバイスの設計を目指す。研究助成金は,コンクリート試験体の購入や光学計測のためのフラッシュランプ,計算のためのワークステーションなどの購入に充てる。
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