2022 Fiscal Year Research-status Report
流体現象と空力騒音を同時に評価できる新たな風洞実験手法の確立
Project/Area Number |
21K14302
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 典彰 大阪大学, 大学院工学研究科, 技術職員 (60880656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流体工学 / 空力騒音 / 風洞実験 / 流体計測 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は流れ場と音場を同時に評価できる新たな風洞実験手法の確立を目的とする.そのために,物体周りの流れ場や流れ場に起因する空力音源と発生する空力騒音や音場の詳細計測・可視化を行うことを主とした風洞実験を行うものである. 本年度は,昨年度構築した風洞実験における流れ場と音場の計測システムを活用し,鈍頭物体を対象にした実験計測を実施した.特に,鈍頭物体の代表例として,大きさの異なる複数の円柱から発生する空力騒音と流体力(3次元各成分の力とモーメント,いわゆる6分力)の計測に主軸を置いた.この流体力計測については当初の研究計画にはなかったが,物体から発生する空力騒音と物体周りの流れ場の関係性を把握する上で非常に有意義であることから計測システムに追加した.このシステムでは物体に作用する6成分の流体力を同時に計測することが可能である. これらの計測では,円柱に作用する流体力の中でも特に空力騒音との関係が明確な,主流と垂直な成分(いわゆる揚力)の時間変動を得ることができた.円柱から発生する空力騒音と揚力は円柱の直径に比例した固有の渦放出周波数があるため,今回の計測においても空力騒音と流体力それぞれで対象とした円柱固有の渦周波数の変動を捉えることができた. しかしながら,今年度においては流体力計測と可視化計測を連動させることができなかった.そのため,今後はシステムを改良し,各種計測と可視化の連動を強化する改良を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,研究の根幹となる計測システムの構築とそれを用いた風洞実験を行った.ここでは,多数のデータを同時取得できる計測装置の組み込みやプログラムの改良などを行った.しかしながら,各種計測に用いる装置を連動する計測システムの構築に想定以上の時間を要してしまった.そのため,当初予定していた実験計測の一部を実施できず,研究を計画通りに進めることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した空力騒音・流れ場・流体力の計測システムを改良し,それらを活用した風洞実験を実施する.ここでは円柱などの鈍頭物体に加えて翼などの流線型物体も対象に,物体から発生する空力騒音と周囲の流れ場,作用する流体力を評価する.今年度までは発生する空力騒音が特定の周波数に卓越する特徴を有する物体を対象としていたが,広帯域の周波数に影響する物体も対象とすることで,それぞれ発生する空力騒音の特性が異なる場合を比較できる.これらの実験を通じて本研究が目的とする流れ場と音場を同時に評価できる新たな風洞実験手法の確立を行う.
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Causes of Carryover |
半導体不足など世界的な情勢の影響が長期化しており,導入を見込んでいた計測機器の納期の長期化や大幅な価格高騰が発生した.そのため,実験計画の見直しや機器選定を再度行う必要が生じた.このため,当初機器の導入に予定していた金額など,次年度使用額が生じた.なお,これに対しては学内での共同購入や借用を行うことで,コスト増大を回避するとともに研究への影響は最小限にとどめた. 次年度使用額については再検討した実験用機器の導入に使用するほか,学会等の研究発表が現地開催される見込みであるため,それらへの参加旅費等として使用する計画である.
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