2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a prediction method for unsteady ventilation rate within urban buildings
Project/Area Number |
21K14305
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣瀬 智陽子 九州大学, 総合理工学研究院, 学術研究員 (10897656)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 通風換気現象 / 非定常換気量 / 風洞実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非定常性を加味した換気量予測評価手法の構築を念頭に(A)建物壁面風圧の時空間分布性状と従来換気量推定手法の推定精度の把握,(B)大気条件変動が与える建物換気への影響評価と非定常性の把握を具体目標に掲げている. 令和4年度では,目標(A)に対して,都市気流場に関する信頼性の高いデータ蓄積が豊富な立方体粗度模型を用いた風洞実験系を対象とした数値流体計算のデータ解析,目標(B)に対して,実大気条件下での風速・建物風圧を取得する屋外実験の実施を研究計画に挙げていた. まず(A)に対しては,前年度に実施した都市域を想定した建物遮蔽条件での建物内外気流場に関する非定常計算(Large-eddy Simulation; LES)の気流場解析に基づく,建物周辺気流と建物換気量の変動性状に係る評価結果を受けて,その非定常性を理解する上で肝要であると考えられる建物周辺の強風や弱風といった風速イベントの確率性状把握に注力した.当該研究成果については,国内学会で発表を行うと共に国際ジャーナル誌において報告している. また(B)に関しては,前年度に実施した都市域での実建物周辺における多点同時気象観測のデータ解析を進めており,次年度に向けて,国際学会での発表といった体外的な成果報告を行う為の準備を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は,乱流モデルの使用を伴うLESの取得データの精度検証に際して,信頼性の高い比較対象であるとされる風洞実験データの拡充と共に,研究対象である都市空間内の非定常気流の確率性状の把握といった目的から,時空間高解像な都市キャノピー内水平風速分布を取得できるPIV計測システムの開発を行った.さらに,工学分野で活用が進んでいる3次元粒子画像流速測定法(3DPIV)を用いて,建物開口部を通過する通風気流を直接的に計測するといった画期的な試みにも挑戦した.当初の研究計画の範疇を超えてはいるものの,計測技術の進歩に応じた新たな研究手法を確立していくことの意義は大きく,とりわけ本研究の目的に照らすと,3次元的な通風気流の非一様性・非定常性の理解を助け,研究の進展に寄与すると考えている.一方で,圧力場に関しては研究計画での想定よりデータの蓄積が進んでいない為,次年度以降で重点的に取り組む必要がある. また,次年度以降に実施予定の屋外実験の準備として,使用予定の観測機器を用いた予備実験を行っているところであり,選定する観測機器に応じた具体的な実験計画の策定や体系的な観測システムの構築等を行っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度以降では,気流場と並行して壁面風圧力の分布性状や確率性状をLESやPIVによる時空間高解像なデータを用いて詳細に解析し,都市幾何形状条件や開口条件に対する気流場・圧力場の包括的なデータ整備に注力する.また,風速や壁面風圧を多点同時に取得する屋外実験を併せて実施し,数値流体計算と屋外実験の両データの差異を検証することにより,換気現象における大気条件由来の非定常性を定量把握することを試みる.
|
Causes of Carryover |
令和5年度以降に実施予定の屋外実験の物品購入等に使用する予定である.令和4年度では,前年度に実施した実街区での多点同時気象観測のデータ解析を優先したため,当該物品購入等は次年度以降,実験前までに完了することで差し支えないと判断した.
|
Research Products
(4 results)