2021 Fiscal Year Research-status Report
Building an open space centered planning theory responding to the transition to remote lifestyles
Project/Area Number |
21K14311
|
Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
山崎 嵩拓 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (40814108)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リモートワーカー / テレワーク / 在宅勤務 / 都市緑地 / 公園 / ロジスティック回帰分析 / ランドスケープ / パブリックスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19パンデミックにより、世界中でテレワークやオンライン学習が普及した。そのため都市計画は、従来型の通勤・通学を前提とした都市構造から、新たに「リモート型ライフスタイル」に対応することが求められる。リモートには特有の都市生活上の課題も指摘されていることから、都市計画による対応は喫緊の課題といえる。 2021年度の主たる成果として、国際誌Sustainabilityに「use of urban green spaces in the context of lifestyle changes during the covid-19 pandemic in tokyo」を投稿し、査読付き論文が掲載された。特に、この論文の内容が高く評価され、同学会誌から"Editor's Choice"(Issue 17では514論文中18本が選出)ならびに"feature paper"(Issue 17では514論文中4本が選出)に選出されている。 本稿では、ライフスタイル変化の代表例と言えるリモートワーカーに焦点を当て、その都市緑地利用の特徴を明らかにした。研究方法は、都市緑地の利用実態と効果を目的変数、ライフスタイルを説明変数とする2項ロジスティック回帰分析である。研究の結果、リモートワーカーが都市緑地をよく利用(Odds Ratio[OR]=1.49, p<0.001)し、特にCOVID-19流行後に利用し始めた(OR=1.54, p<0.01)傾向がわかった。これは、リモート型ライフスタイルへの転換が都市緑地利用を促進しうることを示した世界初の研究成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は「研究1:リモート型ライフスタイルのオープンスペース利用モデルの解明」を完了し、「研究2.社会変動に応じたリモート型ライフスタイルでのオープンスペース利用モデル」を開始することを計画していた。 研究1に関して、国際誌Sustainabilityに「use of urban green spaces in the context of lifestyle changes during the covid-19 pandemic in tokyo」を投稿し、査読付き論文が掲載された。この論文により、リモート型ライフスタイルへの転換が都市緑地利用を促進しうることを世界で初めて実証することができた。加えて、従来から都市緑地をよく利用していた高齢者や子育て家族は人とのつながりを評価していたのに対し、リモートワーカーは不安やストレスを緩和させる機能を評価していた。このことから、ライフスタイルの転換に伴い、都市緑地に新たな役割が期待されている可能性があることがわかった。 研究2に関して、2021年6月に東京都民約3000名を対象とした都市緑地の利用に関するアンケート調査を実施した。この調査結果は現在解析中であり、2022年に論文として投稿する計画である。現在までに、ロジスティック回帰分析の説明変数となる空間データをGIS(地理情報システム)を用いて作成し終えた段階にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は「研究2.社会変動に応じたリモート型ライフスタイルでのオープンスペース利用モデル」を完了し、「研究3.「オープンスペース主体的都市計画論」の実装に向けた景観法の応用可能性の検証」に着手する計画である。 研究2に関して、既にアンケート調査を実施し、説明変数をGISによって作成している。今後は回帰分析を実施し、論文の執筆を取り組む予定である。本研究の成果は、Landscape and Urban Planning誌への投稿を予定している。 研究3に関して、明らかになった計画論モデルの社会実装のために、法制度の応用可能性を検証する。まずは先進自治体へのヒアリング調査ならびに空間の現地調査を行うことで有効可能性を検証する計画である。自治体との連携体制を構築し、今後の円滑な研究の進行に向けた準備を進める。
|
Causes of Carryover |
主たる理由は現地調査が実施できなかったためである。その要因は、新型コロナウイルス感染症の蔓延にある。本研究は、オープンスペースの利用に焦点を当てていることから、特定の季節における調査の実施を計画していたが、その期間が政府の緊急事態宣言の発令と重なったために調査の実施を見送った経緯がある。 なお、現地調査のデータ分析において人件費・謝金の支出を計画していたために、現地調査の中止とあわせて人件費・謝金の不支出が発生している。
|
Research Products
(2 results)