2022 Fiscal Year Research-status Report
京都市都心部の密集市街地における連担京町家が作る共創的路地空間の維持・継承
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21K14316
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 彰 大阪大学, サイバーメディアセンター, 特任助教(常勤) (40885464)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 路地 / 密集市街地 / 町家 / 京都 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都市は2017年11月「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」を制定し、路地奥の長屋を含む残存する約4万軒の京町家を可能な限り保全・継承していくため、解体の届出、保全及び継承に係る協議などを制度化した。しかし、路地に立地する京町家(長屋)の中には、老朽化し、空き家になっているものも多く、狭隘な路地空間は緊急車両の進入、避難経路の確保、延焼の危険性の点などから密集市街地の都市防災上の脆弱性を抱えている。本研究は京都市において町家・長屋が作る固有の歴史的生活共同空間としての路地を密集市街地のコンテキストの中で維持・継承していくための方策を検討する。2021年度は、文献と資料のサーベイを中心に行ない、京都市の路地空間の継承と防災の観点から、関連するまちづくり制度として、密集市街地対策としての防災まちづくりの事例を文献から調査した。防災まちづくり計画が策定された17の事例より、現存する路地の防災に関する空間的課題、住民の意識的課題を整理した。また、防災まちづくりに実際に派遣された専門家へインタビューを実施するとともに現地視察を行った。2022年度は、ケーススタディの地域に関して昭和初期、昭和27年頃の古地図から、当時の路地を抽出し、現在と比較することで現在の路地の成り立ちの調査を実施するとともに、路地を多く残す歴史都市における歩きやすさを街路構造要因と街路景観要因の観点から歩行環境を調査した。歴史的町並みが残る地域を対象に、路地を含めた歴史的町並みや地域の物語の継承を古写真と古地図などから編纂する試みもはじめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
京都市の路地に関する資料収集、制度の課題整理等については順調に進んでいるが、個別の事例調査に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、計画された調査が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は路地を維持する歴史都市における歩きやすさを街路構造から分析するとともに、引き続き具体的な路地の再生事例に対して、行政、所有者へのインタビュー調査を実施し、主要な主体間でなされた価値共有、各々の役割、合意形成の進め方などの分析を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により計画が一部遅れた。次年度使用額は、延期した調査を実施する際に活用する予定であり、分析結果を学会発表、論文等の成果物として完成させる作業を進める。
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