2022 Fiscal Year Research-status Report
木造応急仮設住宅のあり方に関する研究-東日本大震災以降の再利用事例に着目して-
Project/Area Number |
21K14320
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
畠 和宏 岡山県立大学, デザイン学部, 准教授 (00803785)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 木造応急仮設住宅 / 再利用 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は災害時の木造応急仮設住宅のあり方について、これまでに建設された木造応急仮設住宅の建設状況と再利用実態から考察するものである。東日本大震災以降に各地で建設された木造応急仮設住宅を対象に、その建設実態(建設戸数や配置・平面計画、構法、生産供給体制、木材利用など)を把握する。そのうえで、それらが仮設住宅としての役目を終えた後、どのように再利用されたか(またはされなかったか)に着目し、その実態調査から再利用における課題や可能性を明らかにする。本研究では、「①東日本大震災以降に建設された木造仮設住宅の建設実態の把握」、「②使用後の再利用実態の調査と有効性の検証」、「③再利用可能な木造仮設住宅のあり方の検討」の3点を目的として設定しており、2022年度は主に①と②についての調査を行った。主に文献調査から東日本大震災以降の木造応急仮設住宅の建設実態を整理し、それらの再利用の状況について追跡調査を実施した。その結果、東日本大震災以降、プレハブと比較した場合の木造仮設住宅の建設割合、木造仮設住宅の仮設住宅供給終了後の再利用割合がいずれも増加傾向にあることが明らかとなった。建設段階からRC基礎を選択する事例もみられるなど、将来的な恒久化を見据えた木造仮設住宅建設の流れが定着しつつあるといえる。また、隣棟間隔の確保や断熱性能の向上など、居住性を高めることを目的とした工夫なども多くみられた。一方で、長期的な活用を前提とした建設用地の確保や再利用時の法規適合のための改修工事の必要性などといった課題も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
木造仮設住宅の建設実態と再利用状況の実態把握についてはおおむね順調に推移しているものの、ヒアリング調査および現地調査については遅れている状況である。研究期間中に仮設住宅としての供与を終えて再利用が試みられている事例も多くあり、当初の想定よりも調査対象が増加したことも進捗の遅れに影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
木造仮設住宅の建設実態と再利用状況の実態把握に関する調査結果を整理するとともに、未了のヒアリング調査および現地調査を早期に実施する。また、得られた研究成果の論文化や関連学会等での発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ヒアリング・現地調査に遅れが生じ、それに係る支出が予定よりも少なかったためである。2023年度の調査にて、次年度使用額と翌年度分として請求した助成金を合わせて使用する予定である。
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