2021 Fiscal Year Research-status Report
室町時代から江戸時代の日中庭園における構成の修辞に関する研究
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21K14325
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
方 ガイ 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (70897024)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 修辞 / 空間構成 / 構造主義 / 山水画 / 三遠 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、日本と中国の庭園に対して、時代別にさまざまな調査や資料収集をした。それに基づいて、1)現地調査による資料の整理とデータベース化2)文献資料や画像資料の整理とデータベース化を主として行なった。 1)先ず、日本と中国の庭園の構造の特徴を全体的に把握するために、両国の庭園に対して広く全般的な調査を行なった。日本庭園に関して、全国約30箇所の庭園で現地調査を行った。その結果、研究対象の範囲を、京都の庭園から、滋賀県と奈良県など特定の畿内の庭園までに拡大することにした。それにより、室町時代と桃山時代の庭園数を増やしながら、庭園の時代と空間における分布のバランスを取るようにした。したがって、これからは京都を含めて畿内の約40箇所の庭園を研究対象として、現場で写真、実測図及び周辺地域の自然環境など情報を含めるデータを収集した上で、基本的なデータの整理と製表をした。 一方、中国の同時期の庭園に対する写真や現場調査に関する資料の収集に関して、コロナ禍で出入国制限のため、中国に滞在中の二人の博士が代理で蘇州市内における一部の庭園に対してデータの収集を行なった。それとともに、本人が修士の時、中国の主要都市における庭園に対して広く研究と現場調査を行なったため、充分な資料が残されている。それに基づいて、本研究の後期に、中国庭園に関する調査に対して適確に更新及び補足する予定である。 2)次は、文献と画像資料の収集、整理及びデータベース化をした。 それは主に、古代の造園に関する文献及び資料の整理、古代の庭園に関する図絵、作家系別の作品という3つの部分に分けて関連する資料の収集、整理及び製表をした。 3)現在、中国で調査を行うことがより難しいため、調査を後回しにして、その時間を先に研究方法の促進に前倒しすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本では、現地で集中的に調査とデータの収集を合計3回行なった。日本全国における全般的な調査1回と京都周辺に対する詳細な調査2回を予定通り行なった。 中国での調査について、現場のデータ収集は現地滞在中の博士二人が代理で行なった。ただし、データの量はまだ充分とは言えないので、後期で更新及び補足する予定である。 研究方法の推進については、予定を前倒しした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進計画としては、主に、1)既存データの整理、分析および学会発表2)日本全域(京都を除く)を全般的に調査する3)中国の江南地域を(蘇州を除く)全般的に調査するという3つの部分に分けられる。具体的には次のとおりである。 1)調査が行われた庭園のデータベースに対して体系的に整理して分析する。そして、「要素空間法」によって空間構造を分析する。また、類型学によって空間構造の側面における東洋庭園の全体像および系図を展開し、記述的研究を行う。それに基づく学術成果を学会発表する。 2)日本全域の庭園に対する広い範囲の調査の中で、京都周辺の庭園に対して詳細な調査を行い、庭園のデータベース化を完成させる。それに、先行研究に基づいて、一部の庭園の調査を追加することにより、空間構成と系図、そしてそれらの関係性を明らかにする。それによって、京都の庭園が全国の地方の庭園に与えた影響を関連づけ、系図上で明らかにする。 3)コロナ禍で、蘇州を除く、杭州や無錫など江南地域の庭園に対する詳しい調査を、本研究の3年目頃に延期させる予定である。現在取り込んでいる研究は、すでに完成した蘇州庭園の調査に基づいて行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で中国の江南地域の庭園に対する詳しい調査の進行が難しいため、これに関する旅費の出費を延期させる。関連する人件費と材料費も削減される。 コロナの感染状況を見ながら、本研究の後期に中国で調査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)