2021 Fiscal Year Research-status Report
地域主体のまちづくりにおける創発的福祉モデルの持続性に関する研究
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21K14327
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 りさ 福岡大学, 工学部, 助教 (80733849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 福祉 / まちづくり活動 / 地域主体 / 萌芽性 / 持続性 / 創発性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域で芽吹いている福祉のまちづくり活動に着目し,人口減少・高齢化の状況に適応させながら地域主体の持続可能な福祉のまちづくりの実現を可能にする基礎的研究を目指している。 本年度の研究内容は,地域に対する愛着度が高くNPOと自治体との協働事業数が増加傾向にある福岡県の認証NPOを対象にアンケート調査(郵送)を行い,データベース収集に取り組み,各活動分野をはじめ種々のデータ整理を実施した。保健・医療・福祉やまちづくりに該当するデータは計画予定通り収集できており,まずは運営組織の活動に対する意識について分析・検証を進めている。次年度も引き続き,人・活動・空間に視座を置き,福祉のまちづくり活動の萌芽性について整理し,検証する。 現状の萌芽的な福祉のまちづくり活動はそれぞれ活動主体が異なるが,地域において芽吹いているものであり,運営組織が地域居住者(一般市民)である場合が多い。地域居住者の関心・盛り上がりを指標化することで,地域に開かれた福祉のまちづくりの方向性を探り,それらの成熟度を整理する方法論を検証することは重要であると考える。また,人口減少や高齢化に加えパンデミックを経た今後の自治体の施策方針を検証するうえでも意義のあるデータ構築が図れると考えている。 加えて本研究に関連する「地域主体の持続的まちづくり活動に関する研究」や「高齢者の暮らしと周辺地域に関する研究」についても継続して進め,本研究に反映するべき知見を整理しており,これらと関連した包括的な調査・研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたアンケート調査(郵送)を研究計画通り実施した。一定数のデータ収集に繋がり,本研究に関連する保健・医療・福祉やまちづくりに連関した活動組織のデータ集積は予定通り進められていると考える。一方,高齢者関連施設と福祉のまちづくり活動の連関性を検証するうえで必要な高齢者に関連する活動を実施している組織からのデータがやや当初の予定通り収集できていないと考えており,本年度も引き続きアンケート調査もしくは現地対面での聞き取り調査などを検討したいと考えている。 また,本年度実施したアンケート調査結果から,NPOの事業・活動は地域に対して開かれたものになっていると運営組織側が認識している動向がみられ,これらを活動分野や圏域別などで整理し,今後の研究の進め方や次年度の調査に反映させていきたい。同様に,アンケート調査結果から,自治体との連携に対する満足度は圏域ごとに差異がみられたため,状況に応じて自治体に対する調査も検討したい。 加えて,本研究に関連する研究として,「地域主体の持続的まちづくり活動に関する研究」や「高齢者の暮らしと周辺地域に関する研究」についても継続して進めており,特に,自治体側の支援体制に関する調査から得られた知見を整理している。ここで得られた知見をふまえた研究の進め方を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の進捗状況をふまえ,引き続き調査継続を検討していきたい。調査と並行して,萌芽的な福祉のまちづくり活動に関するデータベース構築を進める。 また,研究計画では,高齢者関連施設(高齢者の使用する空間)の側面から検証を進めることを予定していた。しかしながら,本年度実施した調査結果より,調査対象のNPOの事業・活動は多様な活動分野に関わる状況であることを鑑み,対象を必ずしも高齢者に限定するかたちではなく,多様な活動分野別に福祉のまちづくり活動の萌芽性を整理する進め方を検討している。その進め方にすることにより,研究計画最終年度の目標(自治体の施策では包括しきれない課題・要望の整理やプラットフォーム化)により深く通じると考えている。 あわせて,本研究に関連する「地域主体の持続的まちづくり活動に関する研究」において,自治体の支援体制からみるNPOの事業・活動の持続性を探っており,これらの知見を活かした調査を検討したいと考える。また,「高齢者の暮らしと周辺地域に関する研究」では次年度,高齢者の住まい方の経年変化などを整理する予定であることから,この調査結果から得られる高齢者の志向性などを今後の研究の進め方に反映させていく予定である。特に,パンデミックを経て,より公衆衛生学的な観点が重要視される傾向が年々顕著であることから,横断的な調査・研究を進め,地域主体の福祉のまちづくり活動の検証を通じて,地域居住者の居場所性についても検証を深めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は,主に調査予定のNPOを対象としたアンケート調査(郵送)を実施した。本年度の研究計画としては,調査で使用する機器や現地や学会発表を含めた旅費を見込んでいたが,調査地などに複数に渡って発令された緊急事態宣言やまん延防止重点措置などの影響も少なからず影響していると共に,アンケート調査(郵送)で得られた結果をふまえ,次年度に総体的な使用を予定している。 特に,アンケート調査結果から,高齢者のみではなく障碍者や子どもなど多様性を重視した検証が必要であると考え,現地調査や聞き取り調査なども検討したいと考えている。 また,本年度も引き続き継続して取り組んでいる日本大学との共同研究(地域主体の持続的まちづくり活動に関する研究や高齢者の暮らしと周辺地域に関する研究)で得られた知見をふまえることは,本研究の成果に影響してくると考えており,この点における次年度の使用を検討している。
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Research Products
(2 results)