2021 Fiscal Year Research-status Report
避難者自身による選択型分散避難を実現するための宿泊施設利用に関する研究
Project/Area Number |
21K14329
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
本塚 智貴 明石工業高等専門学校, 建築学科, 講師 (40751152)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 選択型分散避難 / 宿泊施設 / 避難者 / 宿泊事業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、災害時における避難者自身による選択型分散避難を実現するための宿泊施設利用の有用性と課題について、避難者・宿泊事業者・行政のそれぞれの視点から明らかにすることを目的としている。 R3年度は新型コロナ禍ということもあり、計画していた和歌山県那智勝浦町での聞き取り調査を実施することができなかったため、兵庫県明石市の魚住小学校区でまちづくり協議会が主導して行われている避難者自身による避難所運営の実践事例調査を実施した。選択型分散避難を実現するためには、従来のように地域単位での避難所運営ではなく、避難所への避難を選択した被災者中心での運営を視野にいれる必要があると考えられる。魚住小学校区では避難者自身による避難所開設を支援する「避難所に来られたあなたへ」という名称の初期対応キット(ファーストミッションボックス)を開発し、設置に向けた実証訓練を実施している。2020年3月に自治会役員を中心とした第1回目の訓練を実施し、初めて避難された方でもカードをみて誘導ができるという一定の評価がみられたものの、記載内容に具体性がない、指示書の名称や内容が分かりづらいといった改善提案があった。 そこで、写真やイラストを入れることで視覚的に分かりやすいように指示書の修正を行い、2021年7月に小学校のPTAを中心として第2回目の訓練を実施した。修正した指示書は分量が増加したことから、読み飛ばしが増加したことや、自治会役員に比べ指示を出すことに慣れていない参加者が指示できないといった課題が発生し、訓練途中で実証訓練中止となった。本事例の検証から、選択型分散避難後の避難所運営における、運営マニュアルの記載方法や不特定の避難者による運営の課題が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
R3年度は、和歌山県那智勝浦町において選択型分散避難の選考事例に関する聞き取り調査を計画していたが、緊急事態宣言等の発令により計画していた現地調査の実施を断念せざるを得なかった。初年度の調査ということもあり対面での聞き取り調査を前提と考えていることや、新型コロナの感染拡大を予測することが難しいことから柔軟な計画変更ができなかった。今年度は、感染拡大の状況を見極めつつ感染症対策を実施した上での調査実施にむけて聞き取り調査対象への調査協力依頼をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染拡大の状況を見極めつつ、R3年度に予定していた選択型分散避難の先行事例である和歌山県那智勝浦町を対象として、宿泊事業者との協定を先導した区長らに対する聞き取り調査から宿泊事業者との交渉過程や協定内容の策定経緯から地域主導による宿泊施設の避難所利用協定締結要因を明らかにすることを目標に研究をすすめている。 また、那智勝浦町に対しては、災害時協定や実際の宿泊施設の避難所利用実体について調査を進めると同時に避難施設としての利用が想定されている宿泊施設を実際に利用することで間取り調査などを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大にともない、計画していた現地調査を実施することができなかった。R4年度はR3年度に計画していた調査を実施するとともに、当初R4年度に計画していた調査についても実施していく。
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