2023 Fiscal Year Research-status Report
避難者自身による選択型分散避難を実現するための宿泊施設利用に関する研究
Project/Area Number |
21K14329
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
本塚 智貴 明石工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (40751152)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 選択型分散避難 / 宿泊施設 / 避難者 / 宿泊事業者 / 運営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、災害時における避難者自身による選択型分散避難を実現するための宿泊施設利用の有用性と課題について、避難者・宿泊事業者・行政のそれぞれの視点から明らかにすることを目的としている。 R5年度は、選択型分散避難にむけた宿泊施設との交渉を行った地域の代表住民、和歌山県那智勝浦町役場の担当者、宿泊事業者へのインタビュー調査および宿泊施設の実測調査を実施し、地域住民と宿泊事業者の協定締結から市役所と宿泊事業者の協定締結に至った経緯を明らかにした。 宿泊施設の避難所利用時の条件については、旅館組合側が条件を提示しており、紀伊半島豪雨災害時にも宿泊施設の避難所利用の経験があり、その際の避難者の自己負担額(1人1泊3食6,000円)が元になっていると考えられる。また、地域が独自に避難に関する調査を行い、特にペット同行避難に対応するために、協力宿泊施設の拡大交渉が行われた。地域が主導して施設との交渉を行ったことから、那智勝浦町内に限定せずに施設との交渉が行われており、条件は旅館組合のものが踏襲されていた。実際にペット同行避難が行われている施設では避難情報発令の度に利用されるお客さんと施設関係者の間での交流が生まれていた(非日常の日常)。那智勝浦町は、3区の取り組みを参考として、利用者の金銭的な負担が増えないように配慮が行われた上で宿泊施設との間で「避難所としての宿泊施設の使用に関する協定」が結ばれた。町と宿泊施設との協定ということもあり那智勝浦町外の施設が対象外となったが協力する施設は19施設に増加し、町内の宿泊施設の約34%が避難所利用に協力していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始時期が新型コロナ禍ということで、予定していた和歌山県那智勝浦町における選択型分散避難の選考事例に関する聞き取り調査を開始することはできたものの、緊急事態宣言等の発令により計画通りの調査を実施することができなかった。今年度は、宿泊事業者への聞き取り・アンケート調査を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き選択型分散避難の選考事例である和歌山県那智勝浦町を対象として、避難施設としての利用が想定されている宿泊施設の調査を行うとともに、過去に協力していた、新規に協力を開始した施設へのインタビュー調査を実施する。また、他地域での宿泊施設の避難所利用実体については調査を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大に伴い、当初の計画通りに現地調査を実施することができなかった。R6年度は遅れていた宿泊事業者へのアンケート調査を確実に実施し、事業者視点からの宿泊施設の避難所利用の課題について明らかにしていく。
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