2022 Fiscal Year Research-status Report
高度経済成長期におけるソウルの都市改造に関する研究ー漢江沿岸の開発を中心としてー
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21K14335
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
朴 光賢 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (00784381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 南ソウル都市計画事業 / 朴興植 / Seoul Master plan / 金泰修 / 汝矣島開発 / 金寿根 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においてはコロナ禍の緩和により予定していた外国への現地調査(韓国)が可能となり、必要最低限の資料が入手できた。特にソウル都市形成史の大家である崔宗鉉氏との面談を行い、1970年代ソウルの都市改造に関する情報特に、独裁政権(朴正煕大統領)がソウルの都市計画に与えた影響について詳しく聞くことができた。そこから当時のソウルの都市計画、中でも道路網の形成において少なからず朴政権が直接関与したことがわかったが、これは本研究で2021年度取り上げた「南ソウル都市計画事業(1961年)」における京釜高速道路建設に関する考察内容にも符合するものであった。このような漢江沿岸の開発やソウル都市改造の社会的背景は、本研究で取り上げている都市や建築的な考察において非常に重要な視座であることはもとより、考察内容を裏付ける根拠にもなり得ると判断している。 また同時代のソウル都市計画について、在米建築家金泰修氏による「Seoul Master plan(1970)」を取り上げ計画背景や内容について詳にし、戦後ソウル市全体を対象として策定された民間人による最初のマスタープランであることを明らかにし、「南ソウル都市計画事業(1961年)」や「汝矣島開発計画(1969年)」との比較を行うことで、その特徴や相関関係を明らかにすると共にソウル都市計画に与えた影響について考察した。 漢江沿岸における住宅団地開発については、「汝矣島開発計画(1969年)」に着目しその変遷を明らかにした上で、ソウル特に南岸における都市計画に与えた影響を考察した。さらに同計画の計画者である金壽根は「木洞新市街地開発(1983年)」の計画者でもあり、その関連性について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍が緩和されたことでかろうじて現地調査を行なったものの、研究計画当初予定した回数には達していないなど、十分な調査ができていないため、思う通りの資料が入手できていない状況である。現在まではオンラインでの閲覧で最大限対応しているが、本研究で扱う資料はそのほとんどが現地でしか閲覧できないものであるため、特に上下水道計画・建設などソウルの都市基盤に関する資料はまだ入手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はより自由に現地での資料調査・収集ができると考えられるので、少なくても2-3回は現地調査を行いたい。特に1960-70年代の独裁政権(朴正煕大統領)時代における都市計画運用を把握するためには、当時の状況をよく理解している関係者の証言が非常に有効であり、今後も崔宗鉉氏(通都市研究所所長、当時のソウル都市計画などに関わった)の協力を得て、関連情報を入手していきたいと思っている。 実際の研究計画については当初の計画通り、漢江沿岸における住宅団地開発について着手したいと考えている。分析対象としている汝矣島・永東・木同地区開発についてはすでに分析を行なっている部分もあり、本年度現地調査から入手できる資料に合わせて分析を含めていきたい。 また、2021からの研究内容(「南ソウル都市計画事業(1961年)」を取り上げ、1960年代の初期に漢江沿岸を対象に行われた都市開発とソウルの都市計画との相関関係について分析したもの)をまとめて日本都市計画学会論文集に投稿したものの採択されず、新たに入手した資料を加えるなどその内容を補強し日本建築学会技術報告書の論文として再度投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2021-2022年度においてコロナにより外国での現地調査・資料収集が遂行できなかったため、旅費が継続して浮いた状況である。その分の旅費は次年度(2023年度)の旅費に足して使用する予定である。 また、予定していた論文掲載が遅れており、次年度にはその分の予算も執行していきたい。
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